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イクメンってまだ死語にならないの?

 50代/女性/教員在職20年強
 4人の子の産休・育休・育児時短勤務経験あり
 職場で感じるジェンダー
 理想の教育ってなんだろう
 考えることあまた…
☕️

第2子を出産して7ヶ月半後、
夫が育休を取り、ワタシが職場復帰することになった。
経緯は、こうだ。


ワタシの勤務地は
住んでいた場所から車で片道1時間半。
いったんもとの職場にフル復職しなければ
異動の権利が得られなかったため、
“通勤の事実” を作る必要があった。
長男2歳10ヶ月、長女生後7ヶ月半。
通勤に往復3時間では、それまでのように
育児も家事もワタシがやるのは無理だ。

考えに考え、ある解決策に思い至った。
 「夫が家事と育児をすれば、乗り切れる」

ワタシと同様、教員である夫に育休を打診すると、
彼はこんな感じで受諾した。

 「仕事がちょうどイヤになってたところだし、
  いいよ」

この言葉を、ワタシは一生忘れないだろう。
育休って、男性にとっては逃げになるのか。
でも、それもやむなし。
子どもたちの生活がかかっているのだから。


当時、男性が育休を取ることはまだ珍しく、
周囲からは「イクメン」の大賛辞を浴びた。
違和感の波が、いっきに襲ってきた。

 この現象は、いったいなに?

女性にとってはあたり前のことも、
男性がすれば絶賛される。
(しかも、どんなに下手でも!)

どうしても、
自分の過去を思い起こしては悶々とした。


長男が乳児だったころ、ワタシは
ワンオペ育児だった。
平日も週末も、毎日 “2人ぼっち” だった。
自分の実家は遠方で、頻繁には帰れなかった。
夫は「部活動」という大義名分のもと、
いつも不在だった。


一方、夫の育休ライフといえば、
週に1度は必ず実家に行き、
食料と育児の手と、休息の時間を確保した。
しかも、
彼がいったん家の外に出れば
 「男性で育休を取るなんてスゴイ」
 「家事も育児もこなすイクメン」
などと、周囲は大変好意的にとらえた。


はじめは、自分の心が狭いのかと恥入った。
しかし、次第に疑うようになった。
そもそも男女で出発地点が違うのでは?
世の中の仕組みがおかしい?


助けてくれる義理実家には感謝すべきだし、
「自分は独りであんなに苦労したのに」
という損得勘定も大人げないだろう。
しかし、
育児をすることにより社会で ”いい思い“ をする夫と、
育児して当たり前と社会からみなされる妻とでは、
初期設定があまりにも違いすぎる。
この状況は、今も変わらないのではないか。

男はずるい。

世の中の価値観は男性に都合よく形成されていて、
このテンプレは簡単には変えられないのだ。



あれから20年近くが経った。
2022年度の男性育児休業取得率は17.3%(厚生労働省)。
数字は増加傾向にあり、
男性の働き方や育児のあり方は
変化してきたと言えるだろう。
それでも、
相変わらず政治経済分野のジェンダーギャップ指数は
恥ずべきレベルだ。
男女間で育児負担が不平等だとの声も、
あちこちから聞こえてくる。
意識改革はなかなか進まないのだろう。

ワーキングマザーが感じていることを、
ワーキングマザー以外の属性の人々が知る機会はあるか。

ワタシたち経験者は伝えようとしているか。

それを
男性側は素直に受け取ろうとしているだろうか。

そして、
男性も女性も、
バイアスという色眼鏡をかけず
本気で世の中をフェアにとらえようとしているだろうか。

色眼鏡をつけていた方が都合がいい、
なんてことはないだろうか。


ワタシたち
“母親経験あり” の高校教員だからこそ
伝えられることがある。

ハチドリのように
一滴ずつ、
若者たちに
ことばを運ぶ。


支えたり、支えられたり。そんな “環境” が心地いいですね。