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【6-1 (1)】 生殖器系 - 男性生殖器 解説

↑ 解剖学マガジン記事一覧(目次)

【6-1 生殖器系 - 男性生殖器】
 ■【6-1(0)】男性生殖器 学習プリント
 ■【6-1(1)】男性生殖器 解説(このページ)
 ■【6-1(2)】男性生殖器 一問一答
 ■【6-1(3)】男性生殖器 国試過去問

【6-2 生殖器系 - 女性生殖器

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1. 精巣
精巣表面は白膜に覆われる。白膜は実質内にやや隆起して精巣縦隔をつくり、そこからさらに精巣中隔が伸びて精巣の実質を300ほどの精巣小葉に分ける。
曲精細管:精子の産生、精巣上体:精子の貯蔵
セルトリ細胞:血液精巣関門 / ライディッヒ (間) 細胞:テストステロン産生


2. 精路
曲精細管 → 直精細管 → 精巣網 → 精巣輸出管 → 精巣上体管 → 精管 → 精管膨大部 → 射精管 → 尿道
精管:血管、神経とともに精索として鼠径管を通過 / 精巣挙筋:内腹斜筋の続き。
付属腺:精嚢、前立腺、 尿道球腺

3. 外生殖器
尿道海綿体(1本)、陰茎海綿体(1対)ともに白膜に覆われる。
勃起:骨盤神経(副交感神経):海綿体の血管拡張
射精:下腹神経(交感神経) → 精管、精嚢、前立腺の平滑筋を収縮。精液を尿道へ射出
陰部神経(体性運動神経) → 陰茎の根本の横紋筋を収縮させ、精液を体外に射出

▶ 内生殖器の発生

生殖器系-61-内生殖器の発生-SQ図

男性:精巣が産生するテストステロンの影響で、ウォルフ管は精管と精巣上体に分化する。ミューラー管は、精巣で産生されるミューラー管抑制因子に反応し退化する。

女性:ミューラー管抑制因子が分泌されないことにより、ミューラー管は卵管に分化し、さらに両側のミューラー管が融合して子宮と膣上部を形成する。ウォルフ管はテストステロンにのみ応答して分化するので、女性では退化する。

▶ 外生殖器の発生

生殖器系-61-外生殖器の発生-SQ図

・生殖結節 → 男性:陰茎亀頭 / 女性:陰核
・尿道ひだ → 男性:尿道海綿体部 / 女性:小陰唇
・陰唇陰嚢隆起 → 男性:陰嚢 / 女性:大陰唇

▶ 男女の生殖器における相同器官

生殖器系-61-男女生殖器の相同器官-SQ図

相同器官でおさえておいた方がいいものは2つ
・尿道球腺 (カウパー腺)⇄ 大前庭腺(バルトリン腺)
・陰嚢⇄大陰唇

※ 精巣⇄卵巣、陰茎⇄陰核はすぐわかると思うので

■ 1. 精巣

▶ 陰嚢におさまる精巣

【徹底的国試対策】6-1 生殖器系 - 男性生殖器.008

精巣睾丸とも呼ばれ、左右1対をなし陰嚢の中に収まっています。
・精巣の前面を覆う精巣鞘膜は腹膜に由来します。
・精巣鞘膜の内側には上部な線維性の白膜が存在します

※ 陰嚢内で精巣は精巣鞘膜に被われています。胎児期に精巣下降が行われる際に、精巣が腹膜を引き連れて下降して、陰嚢内に収まります。これにより腹膜鞘状突起が形成され、腹膜腔が陰嚢内まで伸びています。妊娠後期には腹膜鞘状突起は閉鎖して、精巣前面に精巣鞘膜を形成します。

▶ 精巣の水平断と矢状断

【徹底的国試対策】6-1 生殖器系 - 男性生殖器.009

・精巣表面は丈夫な線維性の白膜に覆われます。(密性結合組織
・白膜は精巣後面で実質内にやや隆起して精巣縦隔をつくり、そこからさらに精巣中隔が伸びて精巣の実質を300ほどの精巣小葉に分けます。

▶ 精細管〜精巣上体管と精管

生殖器系-61-精細管・精巣上体管と精管-SQ図

・精巣小葉の内部は迂曲する精細管曲精細管)で占められています。(精子産生の場
・精細管は精巣縦隔に近い部分では直精細管となり、精巣縦隔内では網状の精巣網に合流します。
・精巣網は10 〜20本の精巣輸出管につながります。
・精巣の上部から後面にかけて精巣上体が付着していて、内部の精巣上体管は引き伸ばすと4〜5mにもなります。(精子が蓄えられる場所

▶ 精上皮

生殖器系-61-精細管の構造-SQ-図

・精細管の内腔は精上皮でおおわれます。
精子産生は曲精細管の精上皮で行われます)
・精子産生は精祖細胞の分裂より、精母細胞精娘細胞精子細胞を経て精子となります。
・精上皮には上記の細胞のほか、セルトリ細胞が存在。血液精巣関門を形成し、精祖細胞より分裂、分化する精母細胞や精娘細胞、精子細胞たちを保持し、栄養しています。
・精細管と精細管の間を埋める間質の部分にはライディッヒ細胞間細胞)が存在し、テストステロン(男性ホルモン)を分泌します。(精上皮には含まれない)

※ 隣接するセルトリ細胞同士は基底膜の近くでタイト結合で接着し、血液精巣関門をつくっています。

▶ 精子形成過程

【徹底的国試対策】6-1 生殖器系 - 男性生殖器.012

※ 減数分裂時に遺伝子組み換えが起こることにより、精細胞は自己として認識されない抗原性をもつことになります。隣接するセルトリ細胞どうしは基底膜の近くでタイト結合を形成し、精細管の内外を隔てることにより、免疫系や血液中の有害物質より精細胞を守り育てています。

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