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今日のプチ生理:リンパ系の働きでないのはどれ?

こんにちは。かずひろ先生です。
今日の問題は生理学。血管系とは別にリンパ系がなぜあるかに通じる問題です。

<鍼灸-2004-36>
問題 2-76 リンパ系の働きでないのはどれか。
 1.過剰な間質液の吸収
 2.間質液の異物の除去
 3.間質液の膠質浸透圧の調節
 4.間質液のpHの調節





さて、こちらはどうでしょう。

【答え】

4.間質液のpHの調節
リンパ系には間質液のpHの調節機能はありません。

毛細リンパ管は毛細血管に比べて細胞間隙が大きく、血管では回収できない大きな異物も回収できます。そして回収した異物を処理するために、濾過装置であるリンパ節が存在しています。

大きな異物も回収できる。
これがリンパ管系が血管系とは別にある理由です。


その他の選択肢について。

1.過剰な間質液の吸収

毛細血管から染み出た液体の90%は膠質浸透圧の作用により、再び毛細血管にもどります。残りの10%が毛細リンパ管へと吸収されていきます。

2.間質液の異物の除去 

毛細リンパ管は毛細血管に比べて隙間が大きく、血管系では回収できないような比較的大きな異物も回収することができます。
(この働きにより、がん細胞もリンパ管に吸収されやすい)

3.間質液の膠質浸透圧の調節

タンパク質によって生じる浸透圧が「膠質浸透圧」

水が通過できる膜を境に、濃い液体と薄い液体が隣り合った時、濃い液体に水を引き寄せる力が働きます。これが「浸透圧」です。

アルブミンなどの血漿タンパク質は血管壁を通過することができません。これにより血漿と組織液を比較した場合には、血漿の方が血漿タンパク質の分だけ「濃い」ということになります。よって「膠質浸透圧」が生じます。

タンパク質は血管から出られないということは、逆に回収することもできないということになります。ですがリンパ管系は血管で回収できないタンパク質などの分子量の大きなものも回収可能です。これにより間質液の膠質浸透圧の調節に関わっています。


■ まとめ

アナトミーブートキャンプ - 2.循環器系©.083

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