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「ワンオペ育児」が覆い隠すもの

フォロワーさんの記事の中で、私の問題意識に引っかかるものがありました。

自分が「夫」「父親」として子育てに関わっている中で、世間の認識と自分の考え方の中に差異があると思いました。コメントもしましたが、以下に自分の考えをもう一度整理して書いてみたいと思います。

私の育児体験のこれまで

5月に息子が誕生し、ニュージーランドの恵まれた文化背景の中、育休を6ヶ月取得しました。産まれた瞬間から6ヶ月の月誕生日までずっと息子の成長を妻と見守ってきました。

ものすごく大変でしたが、半年間、乳児の息子の成長を目撃することは自分の人生の中で1、2位を争うほど充実感に溢れたものとなりました。

一方で、仕事に復帰した現在、私は単身赴任で月の半分は家にいません。ですからその間、妻はいわゆる「ワンオペ」状態となり、負荷が集中しています。その状態をどう取り扱うかは、妻と話し合って決めています。たまには感情的になったり、お互いの要求がすれ違うこともありますが、最終的にはお互いが自制心を発揮し、合意を形作っていっています。

「ワンオペ」なる言葉を使う功罪

当たり前のことですが、我々夫婦間の問題は個人的なもので、他のほとんどの問題と同じく、一般化できるものではありません。私が、世間の「育児に関する問題」の捉え方に対して抱く違和感は、その論調の乱暴さというか、あまりにも物事を一般化、単純化しすぎていると感じるからです。

片方の配偶者が育児にかかりきりになって過負荷になる状態を「ワンオペ」と呼ぶことで、そこに問題が存在することが社会的に認知されたことは是としましょう。しかし、そのことが個別の子育ての問題解決に役立つかといえば、おそらく答えは否でしょう。

なぜなら、多くの場合、問題を一般化するのは「逃げ」だからです。個別の問題の解決に自分の責任で向き合うストレスから逃れたいがために、皆が共感できるレベルまで問題を薄めて共有し、それを「けしからんよね!」と非難するのです。その結果、目前の問題は依然としてそこにありつづけ、解決に向かって一ミリも前進しません。

問題が解決しなくても、とりあえずそうやってストレスを吐き出すしかないほど余裕がない状態の人がいることは知っているつもりです。そのこと自体、否定はしません。ただ、そうすることが問題の解決にはならないと指摘しているだけです。

夫が家事を「手伝う」は間違いか

例えば、夫が家事や育児を「手伝う」と表現することに対する違和感という文脈があります。

家事は夫婦の生活に必須のものなのだから、夫が「手伝う」というのは間違いで、もっと主体的に行動しなければいけない、というような論陣です。一見正しいように聞こえますが、本当にそうでしょうか。ちゃんと自分の頭で考えてみましょう。

私は、ある家事について、両方が「リーダー」になることはむしろ効率が悪と考えます。冷蔵庫に今何が入っていて、調味料は何が切れそうで、食器の片付けるタイミングはいつがいいのか。そういったことは、どちらか1人の頭の中に一元化されていた方が効率がいいし、その人が満足するクオリティを実現したいのなら、その人がリーダーシップをとった方がいい。

我々の例をあげれば、出産して帰宅した直後は数週間ほど私が家事のすべてを引き受けていました。この時は妻が私の家事を「手伝っている」位置付けになります。

その代わり、その家事のクオリティやスタンダードは「私基準」になるわけです。皿のしまい方や洗濯物のたたみ方、掃除機をかけるタイミングは基本的に私がコントロールする権利を持っています。

洗濯物裏返したままたたみますからねわたしゃ。

基本的に妻はそれに対して文句を言えませんが変えて欲しいことがあれば「リクエスト」という形で私に要求することができます。文句ではなく、要求です。しかし、義務を果たす裏返しでコントロール権を持っている私は、そのリクエストを拒否することもできます。

だいたいお願いされればその通りやりますけどね!なんていい夫!

リーダーが決まらなければ、プロジェクトは進みません。そして、家事とはプロジェクトです。だから、ある家事についてどちらかが「手伝う」ようになるのは、私は必然的だと考えます。

重要なのはコミュニケーションです。上で「文句ではなく、要求」と厳密に書いたのは、誰かが果たしている義務に対してはその裏返しとしての権利を認め、変えて欲しいことがああれば丁寧な言葉遣いで「お願い」をする。

そういう手続きを自覚し、わきまえているか、が大事なのです。こんな回りくどい言い方をしなくても「親しき中にも礼儀あり」と昔の人はよく言ったものです。礼儀とは、コミュニケーションを丁寧にする意思と言い換えてもいいでしょう。

丁寧なコミュニケーション

ある家庭では、夫が全て家事をやりたいという場合もあるでしょうし、その逆もあるでしょう。掃除と洗濯は妻が担当し、料理は全部夫だっていいわけです。

誰がどこまで何を担当するのがその家庭にとって最も効率的で納得感が高いか、負荷が集中した場合にどうやってその負荷を分担するか、集中した場合の埋め合わせはどうするか。そういうことを一般化すること(「ワンオペ」はけしからんという文脈で乱暴に論じること)はできません。なぜなら、夫婦間のコミュニケーションは個人的なものだからです。

大事なのは、それぞれが感情的にならずにコミュニケーションを重ねて、お互いが合意できる状態を辛抱強く作っていくスキルと自制心が両者にあるかだと思います。

妊娠して子供が生まれる遥か以前から、そういうコミュニケーションをどこまで重ねてきたか、そのための時間をどれだけとってきたか、現在もとっているか、そうしようと努力する意思がお互いにあるか。それらをあくまで個人的に振り返ることでしか、解決の道はないのではないでしょうか。

まずは、夫婦で一緒に散歩にでも行くといいでしょう。


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