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「今、何感じている?」の問いの力は想像以上だった

30日目(5月3日)

ここのところ、「自己認識」という言葉が気になっている。
自分自身についての認識や他者からどのように認識されているかを数値化して本人にフィードバックするツールを提供しているので、「自己認識」は扱うテーマの一つとして大事にしている。
そもそも「自己認識」ってなんなのだ、と改めて思ったので、ネット上で検索をしてみた。

まず、その中で印象に残ったのが、この記事。

“内省”は自己認識を深めない

という言葉に少しぎょっとした。
内省は自分を知ることにつながる、と思っていたからだ。

少し読み進むと納得できた。

「なぜ」の質問は自分を追いつめ、「何」の質問は自分の潜在的な可能性に目を向けさせてくれる。「なぜ」の質問はネガティブな感情を湧き起こし、「何」の質問は好奇心を引き出してくれる。「なぜ」の質問は自分を過去に閉じ込め、「何」の質問はよりよい未来を作り出す手助けをしてくれる。

実際、私もコーチングの際には、ほとんど「なぜ」という言葉は使わない。
「なぜ」という言葉には、関係性によっては、言われた相手からすると問い詰められた感覚をもたらし、一番もっともらしい答えを探しにいってしまうからだ。

とても気になったので、この記事の元の書籍である「insight」を購入してみた。

こんな例が挙げられていた。

例えば仕事を終えて最悪な気分だったとしよう。「なぜこんなふうに感じているのだろう」と問うのは警戒すべきだ。そうした問いは、「月曜日が大嫌いだから!」とか「単に自分がネガティブな人間だから」といった助けにならない答えを引き出しがちである。

確かにそうだ。「なぜ」と問うと、その理由を考え、それにさらに「なぜ」と問い、終わりのない「なぜ」を繰り返し、究極の答えを探そうとしてしまう。そして大概、それは自分に対してのネガティブな側面に焦点をあてて終わることが多いのだ。

では代わりに、「自分はいま何を感じてる?」と問いかけたらどうだろう?自分はし仕事で余裕がなかったのだとか、疲れ果てているのだとか、お腹がすいているのだと気づくだろう。感情へむやみに反応するのではなく、一息ついて、夕食でも作って、友人にでも電話して仕事のストレスにどう対処するべきかアドバイスを求めてから、さっさとベッドに入ろうと考える。

「自分はいま何を感じてる?」

やはり、この問いだ。
コーチングをしていて、この問いを使わない日はない。

今、何を感じているのか?と聞かれ、一瞬答えることができない人も多い。
「感じる」ということは、身体と感情に関わることなので、普段「考える」ことになれていて、意識を向けてないと気づけない領域でもある。

この問いに答えることは、感情に名前をつけることであり、感情を言葉に落とし込むという行為は、感情に身を浸しているだけの場合に比べて、闘争か迷走かを司令する扁桃体の活性化を食い止め、それによって自制を保つ助けになる

まさにこの間まで読んでいた「ポリヴェーガル理論入門ー心身に変革を起こす「安全」と「絆」」に書かれていた。戦うか、逃げるか、立ちすくむ(シャットダウン)かを判断する、迷走神経と扁桃体の話につながる。

ポリヴェーガル理論についてわかりやすく書かれているサイトがあるので、こちらも貼り付けておく。

難しい理論なのだが、とんでもなく、簡単に言うと、
自分にとって困難な状況(安全でない状況)にであったときに、戦うか、逃げるか、立ちすくむか、それを選択しているメカニズム。
このメカニズムには、内臓と迷走神経(自律神経)と扁桃体と海馬が関係している。

この本を読んだ限りだと、過度な反応を起こさず、バランスをとるためには、海馬の記憶を書き直すこと(安全な体験をすること)や聴覚から変えていくことが書かれていたが、さらに、感情を言葉にすることが、扁桃体の活性化を抑えるのだとすると、「自分はいま何を感じてる?」は、とても意味のあるものになる。

自己認識を調べていて、まさかここにたどり着くことになるとは思わなかった。

「今、何感じてる?」この問いの力はまだまだ計り知れない。


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