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スウェーデンの水と風を感じて

   

     雲の水


この水は・・・

この水はフルーツと雲から出来ています!

そう記された当たり前の文章に惹かれて、
スーパー角で買ってしまいました。


水を作る雲

スウェーデンでは飲料水は無料で、
水道栓から直接飲めるいい水です。
 
でも台所で食器を洗う時、
無駄な水使いする洗い方だと、
お姑さんに怒られたことを覚えています。
 
溜め水に洗剤を入れてまず洗い、
それから濯ぐのです。
 
水は大切なもの!
あなただけのものではないと。

消火栓

今、殆どの家庭では
大きな食洗機が備え付けられていますが、
面白いことに洗濯機はありません。

マンションの地下室に設けられた洗濯室で、
予定表に名前を入れて順番に使用します。

湖に囲まれたストックホルム

水の都スウェーデン・ストックホルムは、
世界三大美港の一つと言われています。

海から見るストックホルムは、
また格別の美しさです。

静かな湖
ここもストックホルムの街中

雨は森を潤し
夏になると多くの人々は自前のヨットで休暇に繰り出し、
冬は湖に張る氷上をスケートで滑ります。
 
美しい水がいつまでも絶えないことを祈ります。

白鳥たち

         

 風の姿をご存知ですか。


 
            洗濯物が揺れて
             木々の葉っぱがゆらゆら動いて雫を落とし 
                                          花が左右に首を振り
                                          窓際の薄いカーテンがひらひら飛んでいます
 
                                         それが風の姿です。

 

風の布 

 

仕事のはじまり

留学から10年後帰国した私には、
東京はまるで異郷の地、

アーティストで生きる道は、
どこにも見当たりません。

作品をスーツケースに詰め込んで、
あらゆる婦人雑誌社巡りの日々でした。

何のツテも紹介者もなく、
またも無謀な私、
そんな者の作品を見て貰えるはずはありません。

作品「ストックホルム」

でも諦め切れず。

疲れ果て、
目の前は真っ暗に閉ざされて行きました。

最後に勇気を振り絞って、
たった一社残されていた身分不相応な、

そしてアート作家の登竜門と言われた、
家庭画報の受付に立っていました。

編集長は眼鏡の奥から、固まっている私に向かって、
織物ではなくもっと身近な何かを作って、
1週間後、もう一度来なさい。

僅か5分ほどの面談でした。
 
考えても何も出てこない、その内貧血で倒れて病院へ。
栄養失調で点滴でした。

「窓辺」

帰り際に、
横を通り過ぎた患者さんとすれ違いました。

頭には白い包帯が巻かれていました。
それが私の家庭画報へのデビューのきっかけでした。

看護師さんに、
ガーゼと巾広のネット包帯と
腕用の包帯を少しわけて貰いました。

ガーゼは半袖のブラウスに、
包帯は帽子とブレスレットに。

水色に染めて再び編集長の元へ。

水滴

風に飛んで


重い布ではなく、
軽くて少しの風にも揺れる布があったらいい。

やさしくて、軽くて、心にもやさしいく包む、
そんな布があったらいい。

貧しかった私を癒すその医療用ガーゼが、
やさしく救ってくれたのです。
 
 編集長の答は、
秋色に染めてファッションに!

秋色のシルクの枯葉

私にはありえない無謀な要求でした。
服など作ったことがなかったからです。
ミシンもありません。

10日後に
フルファッションのセットで仕上げて提出しなさい、と。
  
「3回だけチャンスを上げよう、それが失敗に終わったら、
君はスウェーデンへ帰りなさい。」

編集長の過酷な言葉でした。

雨の日のバス停


・・・諦めない、絶対に。
 私のシリーズは3回続き、

「家庭画報でやってみないか」

その言葉は天にも昇る心地でした。
私はただ泣くだけでした。

rose

予定されていた秋号、毛皮のページの代わりに、
私の秋色ガーゼファッションに賭けてくださったのです。

それから20年、
私は「家庭画報」でお世話になり、今があります。

土屋編集長は、もうこの世にはいらっしゃいません、
もっとお礼が言いたかったのに・・・

でも
ガーゼのようなやさしい風を受けるたびに思い出します。

風に揺れるディル・・・スウェーデンで最も使うハーブ 

風色

  今10年ほど前から2年に一回、
私はストックホルムでだけ個展をします。

その初めての個展は

「風の音」

と題して
シルクの薄いオーガンジー布に刺繍を施し、
生活を表現した作品でした。

思ってもいなかったことに完売したのです。

半分は美術評論家が、
家並みや果物などの立体作品は一つずつ個人宅へ。
 
それから10年後、
次の個展にその評論家が訪ねてくださいました。
大きなスケッチブックを抱えて・・・

壊れたシルクと残った刺繍

中を開けると、
私のオーガンジーのタペストリーは
触っただけで粉々に

「ごめんなさい。私のせいなの。窓に飾っていたら・・・直せません?」
彼女はすまなさそうに言いました。

「東京に持ち帰って直してお返ししますね」
私は複雑な思いでした。
もう直せないほど、触れれば粉々になるのですから。

でも刺繍を施したところだけは、辛うじて残すことができる、
帰国すると再生に取り掛かりました。

2枚の薄いシルクの中に生き残った刺繍を挟み、
大きなタペストリーに再生です。


アートと向き合う姿勢をこの国で学びました。
壊れてもなお愛することへの感情も一緒に。

時という風に乗って、ものは形を変えたり、壊れたり・・・
でも心だけは風化させたくありません。

     
 keiko’s cooking3                   

         白色のスープ     

          
       ずーっと昔、
       ナイチンゲールが、看護覚書に書き残しました。

       食欲が減退した病人には、
       白い食べ物を与えなさい。

       光の色を全部集めた白色の食べ物、
       白いチーズや白いパンは、
       元気の素色だからと・・・

       栄養のある食べ物を与えるのは
       その後からでいい、と

       風邪をひいた時や食欲のない時に
       私はよくこのスープを作ります。

材料:          
ねぎ  2本        
じゃがいも 1ケ      
スープブイヨン 1ケ    
塩、コショウ  
 
作り方: 
① ねぎは5cm程に切る(白い部分のみ使用)
② じゃがいもは皮を剥いて2cm角程に切る
③ 鍋に1、2を入れて、浸るほどの水を足し煮る
④ じゃがいもが柔らかくなったら、
 火から下ろしてミキサーにかける
⑤ 4を火に戻し、ブイヨンを入れ塩、
 コショウで味を整えて出来上がり


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