変わりゆく世界

　　　　　変わりゆく世界

仕事を終えて、TVのニュースをつけるのが楽しみだった私。

最近はおそるおそる指の間から覗くかのような恐怖を感じ、
悲しくなる日々が続いています。

平和は誰もが望んでいるはずなのに、
世界はどこへ行こうとしているのでしょうか。

戦争を一度も経験したことのない国スウェーデン、
でも徴兵制度を持っています。

王室騎馬隊

王宮から出ている一路線の地下鉄駅は、石山をくり抜き、
長いエスカレーターで降りた先は、
地下深く掘られた洞窟のような駅です。　　　　　　　　

ストックホルムの地下鉄駅

ここはもしもの時のシェルターに
早変わりするために作られた駅なのです。

留学していた時は戦争の知らない私には、恐怖にも思えました。
でも施された壁画はまるでアート画廊のように美しいものです。

今、もしロシアがスウェーデンに侵攻したらと思うと、
震えが来るほど悲しみと恐怖の画廊、
いいえシェルターになってしまうのでしょうか。

そうなって欲しくありません。いつまでも地下鉄画廊であって欲しい。

　　　　　　　　

　　　　　道しるべ（みすず書房出版）

ダグ・ハマーショルドの日記から

ノーベル平和賞を受賞し、
47歳で第２代国際連合事務総長に就任した、

ダグ・ハマーショルド（1953~1961年まで飛行機事故で不遇の死まで）は
スウェーデンの政治家で外交官でした。

ソ連によって辞任を迫られている矢先の
コンゴ動乱の停戦調停に赴く途中で、
飛行機が墜落し亡くなりました。暗殺説さえありますが・・・

誠実で平和を愛し持続可能な社会、
ジェンダー社会を求め続けた政治家でした。

市庁舎

混乱する現在に彼が存在していたら、
何かの手立てをし、平和に満たされて、
こんな恐怖を味わってはいなかったことでしょう。

翻訳されたこの本の中に、
謙虚さを求め続けたハマーショルドの言葉があります。

「謙虚さを育むことに価値がある。
謙虚さがあれば苦難の元でも努力ができ、
希望を保つことができるから」と、

私はこの言葉を自分自身にも言い聞かせています。

テキスタイルワーク

　　　　　　　　　　　　　

　　　　　守り色

親友で、私に病院アートArts in Hospital や
庭園療法 Sweden Garden Therapyの存在をいち早く教えてくれた、

故グニラ・ハマーショルド（スウェーデン身障者技術研究所長）は、
このダグ・ハマーショルドの姪でした。

グニラ・ハマーショルド

障害を持った子供たちに生きることの楽しさを伝えるため、
スウェーデン政府によって貸切られた列車に子供たちを乗せ、
ヨーロッパ各国へと、交流の旅を企画し実現させました。

彼女が立ち上げたこのプロジェクトは、
後にスウェーデンが揺るぎない福祉国家と成る礎の一つになったのです。
女性の自立運動家でもありました。

グニラはミス・スウェーデンの肩書を持ち、
容姿端麗なだけではなく、政府が認定した、
政府機関に働く女性、７人の中の一人でした。

共に過ごしたグニラ宅の庭

しかし子供に恵まれなかった彼女は、
インドから養子として迎えた娘が、先天性の脳性麻痺でした。

スウェーデンの精神疾患障害を持った子供たちは、
国が99%の責任を持つことを提唱した人でもあり、
それは今も実現されています。

グニラに99%であれば1％は何？と聞くと、
それは他の誰もが与えられないものと言って笑いました。
それは「母の愛」です。

グニラと歩いた散歩道

彼女の養女は今47歳になり、
ストックホルムのある国立大学の寮で、
人々に守られながら生活しています。

そしてグニラは、『福祉とは』と常に私に深く語っていました。
福祉とは・・・障害を抱える人たちのためだけにあるのではなく、
その人を取り巻く人々、そして
すべての人々がしあわせであることなのだ、と。

ここにもダグ・ハマーショルドの精神が受け継がれています。

花屋さんの雨靴花瓶

　　　　　

　　　　　昔のビタミン色

留学生時代、私自身が食に全く興味が無かったこともあって、

スウェーデンには、
あまり色とりどりの野菜もなかったように思います。

主婦たちは、
夏や秋に収穫できる食物の殆どを、
塩漬けやジャムなどの保存食にしていました。

Kaffetanten にて　今日は人参ジャムを添えて

どの家庭でもレストランでも、
曜日ごとに決められた食事をしていました。

月曜日　塩漬けシル（魚）の焼き物 Sillstak
火曜日　豆スープとパンケーキ Gul ärtsoppa
水曜日　ミートボールとマッシュポテトKöttbullar
木曜日　ヨンソンスフレステセ（ヤンソンさんの誘惑）Janssons frestelse
金曜日　塩味の煮魚とグリンピース Kokt Fisk med gröna äter
土曜日　ステーキパンナPytt i panna
日曜日　ポテトスープ Potatis soppa
　
例えば火曜日に私が学校の食堂に行くと、
豆スープと決まっていて、
全国殆どのカフェやレストランは、同じ料理でした。

日本人の私は、
塩分とビタミン不足で壊血病にまでなって、
医師に処方されたのはビタミン剤でした。　

ストックホルムの空で遊ぶ

　

　　　　　森と海の料理

現在のスウェーデン料理は、
まるでお皿の上にアートが施されたような
美味しい料理ばかりです。

厳しい冬と太陽の光が輝く白夜（沈まない太陽）の、
繰り返されるスウェーデンで生まれた料理は、

森からは鳥類、トナカイなどの野生動物、羊、牛、子牛など、
海からはニシン、たら、イワシ、海老など、
新鮮な食べ物がいっぱいです。

森ではキノコ、コケモモ、
ブルーベリー、クラウドベリーなど、たくさん採れます。
これから少しずつご紹介して行きます。

行きつけの八百屋さん（ストックホルム）

その伝統的な料理の一つ、ミートボールを作ってみませんか。
ミートボールの作り方は家庭によって違います。

どれが本当なの？　

はい、自分の母のレシピが本当のミートボールと、
スウェーデンの皆さんが答えます。

ここでは基本的なレシピです。　　　　
あなたのレパートリーになったミートボールは、
どんな味でしょうか。

　　　　　　　こげ茶色

私流のミートボール

Keiko’s cooking-2　　

ミートボールとマッシュポテト（４～６人分）

ミートボール　材料：
牛豚合挽き肉　500g
牛乳　　　　　250cc
パン粉　　　　75g
卵　　　　　　１個
玉ねぎ　　　　小１個
オールスパイス小さじ１／２
塩　　　　　　小さじ１
コショウ　　　少々
オリーブオイル（焼き用）

作り方：
①玉ねぎをみじん切りにし、焦がさないように炒める。
②パン粉　は牛乳に浸しておく
③ボールに挽き肉を入れ、塩、コショウ、オールスパイス
を加え、１の玉ねぎ、卵、２のパン粉を入れて、こねるよ
うに混ぜる。
④３cmぐらいの団子状にしてオリーブオイルを入れたフラ
イパンでこんがりと焼く。時々、フライパンを振りミート
ボール全体に焼き色をつける。
　　　　　　　（一つ作って焼いて味見してください）
⑤マッシュポテトとリンゴンベリーで頂くのがスウェーデ
ン風。
　　　　　　　（キノコソースも合います）

誰にも人気のミートボール

マッシュポテト　材料：
じゃがいも　５個
牛乳　　　　100cc
バター　　　１０g
塩・コショウ

作り方：
① じゃがいもの皮をむいて、中ぐらいに切る
② 塩を入れた水から１を茹でる
③ 茹で上がったらお湯を捨てて、鍋を戻し
④ 潰しながらバターと牛乳、塩、コショウを入れてよ く混ぜ合わせる。