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ルービンシュタイン×ベラスケスで見るラヴェルの秘密

今年も早2ヶ月が過ぎました。
そんな2月、私は超過密スケジュール。
演奏会には行けそうになく…大好きなピアニスト達の録音で癒される日々になりそう。
今日はその中から、アルトゥール・ルービンシュタインをご紹介したいと思います。
実は初めて彼の音を聴いた時、あまりピンときませんでした。とってもお上手なんだけど、全然絵が浮かんで来なくて。
だけどある日、改めて何気なく聴いたショパンの演奏で大好きなピアニストの1人に。英雄ポロネーズだったのですが、本当に英雄そのものだったのです。
とっても気高くて力強くて躍動感があって、一国の王のように高貴で貫禄のある音。
こんなにガシガシ弾いちゃうとうるさくなりそうだけど、とても上品なんですよね。
その時にふと思い浮かんだのが、スペインの宮廷画家 ディエゴ・ベラスケスの絵でした。
ベラスケスはその生涯をハプスブルク家に捧げ、宮廷画家としてたくさんの王室絵画を描いてきました。大胆で繊細なベラスケスの作品は、まさにルービンシュタインの音とリンクすると思っています。
特にベラスケスが描いた、王太子バルタサール・カルロス騎馬像。

前回の来日ではパンフレットにもなるほどの目玉!

この絵、英雄ポロネーズのモデルになったのかと思う程に曲と合致していると思いませんか?
幼い太子が雄弁に振る舞うアンバランスな描写が、繊細なショパンと力強いポロネーズに重なって見え、絶妙に儚い。
ショパンがマヨルカ島にいた頃、スペイン本土を観光していたりして…その時にこの絵を見ていたりして…なぁんて、また私の妄想が膨らんでしまいますが。ともかくルービンシュタインの英雄ポロネーズを聴いた時、1番にこの絵が浮かびました。
英雄ポロネーズ=王太子バルタサール・カルロス騎馬像みたいなところがあるので、だいたい誰が演奏してもこの絵が浮かぶのですが…
色々と聴いた結果、やはりルービンシュタインの音でしか、この絵は、ベラスケスの絵は、完全再現出来ないと言う結論に至っています。
と、ここまでルービンシュタインとベラスケスを熱弁してきましたが、ここでもう1人、外せない人物が出てくることにお気づきでしょうか?

…そうです!(←誰も何も言ってない)
ルービンシュタインが生きていた時代、すでにベテラン音楽家として活躍していた、モーリス・ラヴェルです。ベラスケスが描いた、マルガリータ王女の絵に感銘を受け、亡き王女のためのパヴァーヌを作曲したと言われていますが…
私、ラヴェルにどうしても言いたいことがある。

ならなぜルービンシュタインに演奏依頼せぬ!?

あなたのこの曲を演奏するのにこれほど適任な人がいますか!?

亡き王女のためのパヴァーヌが大好きな私は、どうしてもルービンシュタインのこの曲の演奏を聴きたくて、ネットでそれはそれは探しましたが…
ありませんでした。
きっと録音してないんでしょうね。
本当にラヴェルを恨みましたよ。
と言うより、そもそも本当にベラスケスの絵に感銘を受けて作曲したの?
と、もはやそれすら疑い始める始末。
そこで、私なりにこの亡き王女のためのパヴァーヌに纏わるお話しを調べたのですが、どうやらご本人自体が「infante defunte」と言う語呂合わせが綺麗だったからタイトルに使っただけとおっしゃっていた説あり。名曲ミステリー的なものがお好きな方には申し訳ありませんが…
ご本人のこの言葉、本心な気がします。

美術品が好きだったラヴェルのことなので、恐らくルーブル美術館には足を運んでいたし、この絵も知っていたと思います。まあ、火の無いところに煙は立たないと言いますし。自分と同じルーツを持ったベラスケスの美しい絵からタイトルの着想は得た可能性があります。だけど、ベラスケスの絵とは関係なく曲自体はすでに出来上がっていたのかなと。
でないと…
やっぱりルービンシュタインにこの曲の演奏を依頼しなかった謎が解決しない!(←結構根に持つタイプ)

全く根拠のない、私の単なる妄想ですが。
きっとラヴェル自身、自分のこの曲について噂されることにまんざらでもなかったんだろうなぁ。
だから本当のことをあやふやにしたまんま、現代まで語り継がれてきた。
そして、あまり出来の良い曲じゃないなんて言ってたようですが、本当はとってもお気に入りだったと思う。
そんなラヴェルの気持ちがちょっぴり分かる気がした、今日この頃。

ラヴェルが見たマルガリータ王女の絵。
やっぱりルービンシュタインを連想してしまう…

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アンナ ブラック
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