見出し画像

藤田真央【円と線で紡ぐ音②】

前回から約3週間ぶりの、藤田真央さんピアノリサイタル。
場所は、札幌コンサートホールKitara。
前回の公演は何だか考え事が多くて…私の耳がついて行けてなかったよう。
普段なら公演の帰宅後、すぐに絵を描き始めるのですが、そんな気分にもなれず、何となく習作を描く程度でとどまっていました。
あと、もう一つ。
前回の公演期間は、まだシフの音の描き始め段階だったんですよね。
私、異なる演奏者の音を同時進行で描くのが苦手みたいで…
以前、ベネデッティ ミケランジェリのショパンを制作中に、藤田真央さんのラフマニノフを描き始めたら、2人の音が混じってとんでもない作品になってしまったので。
あれ以来、描き始め段階の絵は1作品ずつ描くようにしています。

さて、今回の公演。
席は最上階、3階の1番上を選択。
彼の音は上に高く上がるので、天井により近い席で一度聴いてみたいと思い、今回は3階を選びました。

公式HPより。まさにこんな感じの眺めでした。

前回の演奏が普段の音と違ったとお伝えしましたが、今回も前回同様、いつもの音とは少し違いました。だけど、藤田さんの解釈でしっかり音作りしているのが分かる、良い意味での違いです。
では、なぜ前回の音が腑に落ちなかったのか…
それには、ピアノや調律の問題、ご本人の問題、会場の環境等…色々と原因は考えられますが、私の直感ではホールの広さだと思いました。
今回のポロネーズも、普段より重心重めで横長な音でしたが、前回と違っていたのは、飛んだ音がしっかり左右に広がっていく所。それが、芯のある重厚な響きに…かつ、藤田さん特有の、あの高さのある音が組み合わさって、勇ましく美しい、藤田真央のポロネーズに仕上がっていたのです。
もうね、音が伸び伸びと喜んでいました。
越谷サンシティホールも素敵な会場だったのですが、藤田さんのポロネーズにはちょっと狭かったようですね。
今回は3階席と言うこともあってか、普段感じることのない、藤田さんの音の貴重な瞬間を見ることができました。
また、縦に高く上がる音は、最高でも3階の最上席より少し下あたりで止まることが発覚。
特に、英雄と幻想ポロネーズの音の高さ。
いつも見上げてばかりいた藤田さんの音が、自分の目線と同じ高さで感じられ、泣きそうになりました。本当に美しかった。最高に素晴らしいポロネーズでした。
そんなポロネーズとは打って変わり、今回「???」だったのが、後半のリスト ソナタ。
またまた休憩中に調律師さんの調律が入り、音が真っ直ぐ上に、高らかに飛んでいくようになったのですが、上には伸びて行くのに、私の席まで届いてこない。
もちろん美しいのですが、ステージと座席が凄く遠く感じる。
前回はあんなにスッと耳に入ってきたのに…
3階席だからでしょうか。もしくはホールの広さか…ポロネーズの立体感のある音に耳が慣れてしまったからか…
前回浮かんだ、オーロラのような音たちはどこへやら。もしかすると、高さがより強調される曲は、下から見上げた方が合うのかもしれませんね。
しかし、それも含めての生演奏。
結果は大満足なのです。
いつか藤田さんのリストがまた聴けることがあれば、もう一度1階席で聴いてみようと思います。

毎回、公演のチケットを取る時に気になるのが、座席によって料金が違うこと。
1階席が割高で、上の階にいくほどお安くなります。
ですが、座席とホール、曲や演奏者によって、自分の耳に伝わる音の響きや感じ方って違います。もちろん個人の感性によってもそれぞれ違う。
上の階の座席を買う時、お安くなっていてありがたいのですが、上の階は音の質が落ちると言われているような気分になり、何となく納得できないことがあります。
演奏者を近くで見れないと言う意味で、割安になっているだけなのかもしれませんがね。

そんなこんなで、大満足でホテルに帰ってきた私は、忘れないうちに音をスケッチ。

音のスケッチ、一部。
これらを参考に、木製パネルで土台から作っています。

早く帰って絵を描きたい気持ちを抑え、翌日のフライトまでイメージを膨らませていました。
北海道の温かな景色と、頬を撫でる冷たい空気、そのコントラストが私の創作意欲をより後押ししてくれ、いい絵が描けるような気がしています。

植物園の通り路

ホテル周辺を散策中、初めての野良リスを見つけて夢中で追っていると、木に登った視界の先に広がる、空一面の雲。静かに揺れるその姿が、藤田さんの音と重なる。

リスが登って行った木

なんと、北海道は街中でもリスがいるんですね。
結構衝撃的でした。

ちなみに1人で旅行に行った際、食事の写真は全く撮りません。
理由は、超がつくほど極度の味音痴なので、ご当地グルメ巡りをしないから。セブンイレブンだけでも充実北海道を満喫しましたよ。

最後まで読んでいただきありがとうございます! いただいたサポートは夢を叶えるために使わせていただきます。