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20歳と6年。


成人式はもう、6年も前の出来事になる。

あの時たのしみにしていたのは、成人式よりも3月に予定していたトルコ旅行だった。旧友や恩師とのひさびさの再開はうれしかったけれど、わたしはきっと、過去よりも未来を見ていたかった。

かっこよく言ってみたけれど、結局は戻りたいと思えるほどの「過去」が、わたしにはなかっただけなのかもしれない。


二十歳という節目を迎えるにあたって、どの国でなにをしよう。それを考えはじめたのは、成人式を迎えるすこし前の、たしか11月頃のことだったと思う。

本屋の海外旅行のコーナーで、背表紙に書かれた国名をざっと追っていく。わたしはそれまで、シンガポール、ベトナム、カンボジアを訪ねたことがあったので、今回は少し遠い国へ行けたらいいなと思っていた。

たくさん並ぶタイトルのなかで、ピンと来たのは「イスタンブール」という文字だった。よし、ここに決めた。


友人たちが親に買ってもらうハイブランドの財布を選んでいる傍らで、わたしは、なにか特別な方法でじぶんの二十歳を祝おうと思った。

とにかく、じぶんがちっぽけに見えるくらい広くて遠いところへ行きたかった。


--よし、カッパドキアで気球に乗ろう。

訪れる国を決め、そこでやりたいことを1つだけ決めてから、ともだちを誘った。一緒にベトナムへ行った、高校時代の同級生。彼女がダメだったらひとりでもいいや、と思っていた。

(そのあと同じ高校・バスケ部の後輩が着いてくることになったので、結局3人になったんだけどね。)

カッパドキアで見た地球は、ただただ静かで、広くて、どこまでも青かった。


--若いうちは、とにかく感性を磨きなさい。

だれかに言われた記憶はないのだけれど、いつの間にかそう思うようになっていた。もしかしたら、だれかがこっそり伝えてくれたのかもしれないけどね。


でも、ほんとうにこのひと言に尽きるのだと思う。

わたしは、この世界からどんなことを・どのように感じているのか。それは結局、じぶんの知識や経験でしか測ることはできないし、伝えたり、表現したりすることもできない。

だから、とにかくその部分を磨こうと思った。


あれから6年。


  二十歳のわたしへ

新成人、おめでとう!
お母さんの振袖、よく似合ってるよ。だから、身内に写真を撮られるのは慣れないかもしれないけれど、ニッコリ笑ってあげてね。

6年後のわたしは、いまのあなたを超えられるようにと、相変わらず走っているところです。そのままストレートに大学を卒業すれば、会社で働いて4年目になる年です。すこしは落ち着いている頃だと思った? 

あれから6年が経つけれど、わたしはあなたの興味関心をひとつひとつ片付けているところです。いちばん早かったのは、バスケットボール。存分にたのしんでから、きっぱり別れました。

というか、ほかに好きなことができちゃった。

それから、海外旅行が好きなあなたに朗報。
その後、6ヶ国へ出かけています。そのうち1つは半年近く。
さて、わたしはどこを訪れたでしょう。

そして、いま、わたしは働きはじめて3年目になります。まわりのともだちよりも1年遅れて社会人になったけど、働くのはすごくたのしいです。おそらく、あなたが考えたこともない仕事に就いています。

就活は思う存分やってください。周りのともだちや大人がなんと言おうと、じぶんに向き合ういい時間だからね。どれだけ壁にぶつかったとしても、ネットの情報がどうであっても、あなたの「納得感」をいちばん大切にして。あ!就職については、先にお父さんを口説くと吉です◎

まあ、いま伝えられることはそのくらいかな。未来でまってるから、いまを存分に駆け抜けて。

6年後のわたしより

たしかにあの頃もたのしかったけれど、歳を重ねたいまの方がずっとたのしい。それだけはわたしが約束するから、一生懸命走ろうね。

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