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クラブ活動の祝日

バカでかいスピーカーから脳天と心臓に響く重低音。
思わず体が動いてしまうような速めのビート。
暗いフロアをチラチラ照らす紫のライト。

こういう場所では瓶ビールに尽きる。


最前列には
上半身と下半身の連携どうなっとんの?
足元それどういうステップよ?
…そんなキレッキレのお兄さんたちがたくさん。

わたしはダンスは踊れないが、なんとなく輪のなかに入ってノリ狂うのも嫌いじゃない。
脇で眺めるのも嫌いじゃない。


このイベントに参加するために、出不精のわたしが電車を乗り継いで街に繰り出したわけだが「電車に乗って目的地に赴く」だけでももうライブ感たっぷりなんだよね。

電車に乗れば車窓から差しこむ日光温もりや見える景色、各駅のアナウンス、降りた街の匂い…外界の刺激に対してすべての毛穴がひらいているのがわかる。

これから目的地に行く人なのか、自宅に帰る人なのか。
あの男女はカップルなのか、カップルとはいっても不倫カップルなのか、はたまたぜんぜん違うのか、そんなことを想像するのも楽しい。
電車でたまたま向かい側に座ったお兄さんがイケメンだと、それだけで楽しい。


人と集まるといっても、ふだんのわたしが顔を出す「人と集まる場所」は自宅のデスクから、画面上に四角くならんだ顔を眺めているだけのオンライン。
みんなこっちを向いている。

人は横顔やちょっとしたうつむき加減の表情もまたその人の魅力や色気が出たりする。
オンラインではそうした微妙な表情も着ている服のコーディネートもそのディテールも質感も、つけている香水も、なにも伝わってこない。

…もうぜんぜん五感が揺さぶられない。
むしろ五感を駆使してもわからないことが多すぎて、変なつかれ方をする。


たぶんわたし、リアルをもっと味わいたい。
この、情報に満ち溢れた世の中で、オンラインの世界はわたしにとってふれたい情報が少なすぎる。

人にはできれば直接会いたい。
彼・彼女の息づかいさえ聞こえてくるような。
あるいはやっすい居酒屋でやっすいお酒をあおりつまみをつつきながら、ガチャガチャして声が聞こえなくて「えぇ?」を繰り返すけど楽しくて、帰ったら「服くっさ!」ってなるような体験。

間合いとか距離感とか、目には見えないけどたしかに存在するものが、リアルなら感じられる。

本だって紙のほうが好きだ。
ページとページのあいだに指をはさみながら、紙の手ざわりを味わいながら。
あとこれだけのページ数で、どんな結末へ転がっていくのだろう?とわくわくしながら。


リモートワーカーにとってはちょっとした外出やちょっとしたオフライン体験も立派な気晴らしとなるのだが、最近読んだ本には「気晴らしは心が元気じゃないと楽しめない」と書いてあった。

心が元気じゃないと、今までのように楽しめない自分にまた落ち込んでしまったり、そもそも気晴らしのその行動そのものが負担になったりするのだ、と。

たしかにね。
わたしもコロナ以降、緊急事態宣言が明けてからもしばらくは出かける気力がなかったもんね。


今日この日クラブ活動と五感の刺激を大いに味わい、楽しめたことに感謝して。
明日は今日休んだぶん、締切が差し迫った仕事に向き合おう。



今日も読んでくれてありがとうございます。
最近あなたの毛穴が開いた経験は、どんな経験でしたか?

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