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ティッシュで自分の「顔」を知る

リモートワーカーやフリーランスにとって「オンライン○○」は日常的だ。
オンライン会議、オンラインセミナー、オンライン飲み会…。
会議に関してはわりと日中も多いが、勉強会や飲み会は圧倒的に夜が多い。

先日はオンライン交流会からのオンラインセミナーと立て続けに4時間。

移動する必要がないからこそできるハシゴである。

とはいえやっぱり集中力に欠けてくるし、終わったあとはぐったりもする。
その日夫は夕飯をすませて帰ってくるというもんだから、こっちは夕飯の支度などしていない。

しばし休憩ののち、重たい腰をあげて簡単にパスタをつくる。
テレビでもみるか。
とくに観たい番組があるわけでもないが、こういうときはくだらないバラエティがいちばんいい。

さてゆっくり夕飯を食べようかと思うと、「ちょっと一杯やろうかな」などという気持ちがわきあがり、また席を立って冷蔵庫から戻ってくるまでのあいだに「プシュ」と「ゴクリ」を横着にすませる。

さあ、今夜はゆっくりやりますか。
と、つくったパスタを箸ですすりながら、だらりとテレビを観る。
…ひとり夕飯あるあるだ。


「ぷふーっ」

テーブルの上にあった使いかけのティッシュがわたしの鼻息で勢いよく飛んでいった。
これは驚いた。

突然ティッシュが飛んだからではない。
自分が笑っていることに、驚いたのだ。

∽∽∽

こう書くとなんだかとても淋しい毎日を送っている人のように思えるが、自分では淋しい毎日だとは思っていない。
さすがに「愉快だなあ楽しいなあ!あはは!」と、ちびまる子ちゃんの山田くんのようにはいかないが、それなりの毎日を送っているつもりだ。

でも、最近こんなふうに笑えてたっけ。

生活のなかで自分の表情を意識することがとても少ないがゆえに、なにげなく吹き出した自分がとても新鮮に思えた。

オフィスで働く会社員にくらべてリモートワーカーは鏡をみる機会が少ないと思う。
たとえばお手洗い。
オフィスなら大きな鏡が設置されているところがほとんどだろうけれど、自宅のお手洗いに鏡はない。
毎日誰とも会わないせいで化粧もろくにしないから、そこでも鏡をみる機会損失をしている。

いやオンライン会議など画面上では自分の顔を目にするけれども、しょせん小さな小さな四角のなかだ。
今日は血色がよいとか悪いとか、やつれているとか、口角が下がっているとか、やっぱりそこまではわかりにくい。

「ティッシュぷふーっ」したとき、なんだか自分はずいぶんと笑っていなかったような気がしたし、久しぶりに笑った気がした。

∽∽∽

それから数日間。
YouTubeをみているとき、テレビをみているとき、知らず知らずニヤニヤしていることに気づいて、あるいは思わず声を出して笑ったとき、我に返ることが度々あった。

あれ?最近のわたし、けっこう笑ってる!?

ここ最近、なにかとくべつ嬉しいことがあったわけでもないし、調子が良いというわけでもない。
「日々の楽しさレベル」はあまり変化がないと認識しているのだが。
なんなら、自分のふがいなさに泣きたくなることのほうが多い気もするけれど。

それとも、別に最近よく笑うようになったわけではなく、今までは笑っている自分に単に気づいていなかっただけなのか。

どちらにしても「笑う自分」を意識する瞬間が増えたということだけは確実にいえる。

そしてオンライン○○での愛想笑いだけでなく、ひとりの時間でもちゃんと笑えているんだと、安心した。
自分の表情を取り戻したような気がしたのだ。

ティッシュのように舞い上がるわけではないけれど、日常で心がふわりとした瞬間については、しっかりとキャッチしていきたいね。



今日も読んでくれてありがとうございます。
最近あなたがニヤニヤしてしまったできごとは、なんですか?

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