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サッカー好き女子が、FCバイエルンを観戦しにミュンヘンに行った話 【後編】

かなり余裕を持って到着したので、スタジアム内はまだ疎ら。スタジアムシートには、バイエルンの合言葉「Mia san Mia (我々は我々以外の何者でもない、みたいな意味)」の文字が輝く。

この言葉、サッカーに興味のない人から見るとそこそこイタいらしい。バイエルンのファンショップのお土産袋には、でかでかと「Mia san Mia!」書かれているのだが、これを旧市街で持っていたら「その言葉、なかなかダサいよ」と苦笑された。知らんがな。

いよいよ試合がはじまる

スタジアムDJがドイツ語で捲し立てるカッコ良さ、大音量のBGM(なお、これが絶妙にポップでダサい)、熱狂のスタジアムの空気に圧倒されているうちに、大型電工掲示板に選手の姿が映し出された。

私の座った位置からでは、アルファベット表記のスタメンは見えづらく、手元のスマートフォンで確認。スタジアムには無料のWi-Fiがあるが、全く繋がらないので期待しないほうがいい。

守護神GKノイアーは負傷離脱中のものの、レヴァンドフスキ、ミュラーらが先発。

相手のハノーファーは、原口元気がキャプテンマークを巻く。

ちなみに私が以前から推していたのはセルジュ・ニャブリ。日本からも動向をチェックしていた彼も先発。なぜ推しているかというと、生年月日が全く一緒だから(笑)!今後も頑張ってほしい…!

そしてサブには、リベリーと、負傷のため約5ヶ月実戦から遠のいていたロッベン。これには現地のサポーターも大いに沸いていた。

スタジアムに通う友人も、あの盛り上がり方はなかなか経験がないらしい。

ありがとう、ダフ屋。(詳細は[前編]へ)

KICK OFF!!!

68000人がピッチを見つめた。いよいよ試合が始まった。

試合は終始バイエルンが押し込む。あまりに一方的なゲームで、原口元気が不憫になるような試合運び。

今回はかなり高い位置からの観戦だったこともあり、特にチャントを歌わされるような空気はなかった。けれどもそこはサッカー好き、やっぱり声は出したい。

ドイツ語で「1(eins/アインス)」「2(zwei/ツヴァイ)」「3(drei/ドライ)」くらいまで、そして「0(null/ヌル)」を覚えて行くと、より楽しめると聞いて、予習した。

バイエルンが点数を入れると、スタジアムDJが煽る。

DJ:Bayern München!
サポーター:Ein!(1点!)
DJ:Hannover 96?
サポーター:Null!!(0点!!)
DJ:Danke!(ありがとう!)
サポーター:Bitte!!(どうも!!)

これがめっちゃ楽しい!!(笑)

ちなみにスタジアム内の音質はとても良く、どこに座ってもDJの声は通るものの、ドイツ語独特の捲し立てが日本人には聞き取りづらい。あんなに練習したのに、ビッテしか言えなかった。

ちなみに、相手チームが実際に何点であっても、この掛け合いの中では常に「null!(0点!!)」と叫ぶのが決まり。どれだけ得点を入れられても、ここでは0点。いかにも欧州っぽい。

完全な余談だが、アリアンツ・アレーナのアウェイ席はこの辺り。あまりの追いやられように笑った。確かにTVで観るとき「どこにいるんだろう」とは思ってたんだよなぁ。

そんなこんなで、前半は2-0で折り返した。

怒涛の後半戦

後半が始まってすぐ。あまりの一方的な試合運びに、思わずロッベンとリベリーのアップに目を取られていた隙に、PKを取られて1点を返された。

後半から投入されたジョナタス(ハノーファー96)が、後半開始5分でしっかりPKを決めたのだ。

そして彼は、立て続けに2枚のイエローカードをもらい退場。たった10分間で、ゴールを決めてイエロー2枚で去っていった。なんだったんだあれは。

試合運びについては色んなメディアがしっかり載せているので、省略するとする。

その後、10人になったハノーファー相手に、後半26分から出場した元気いっぱいリベリーのヘッドでダメ押しの1点。

ここではじめて「null!(0点!)」から参加することに成功し、バイエルンサポーターの誰もが試合内容に満足していた。

ありがとう「ロベリー」

レヴァンドフスキの先制ゴールよりも、ゴレツカの2点目よりも、リベリーのダメ押しのヘッドよりも、スタジアムが盛り上がった瞬間があった。

86分、ロッベンがついに登場した。前年11月から、負傷続きで一切試合に出ていなかった彼が、約5ヶ月ぶりにサポーターの前でプレーを見せるのだ。

その熱狂は、今までに感じたことのない熱量だった。言葉は分からないけど、応援の熱は分かる。バイエルンのサポーターは、皆この日を待ち望んでいた。

本当に言葉にできない。感謝しているとしか言えないよ。ここに戻ってくるためにすべてをやってきた。数週間、数カ月ハードワークを続けてね。残念なことに今日は5分程度の出場だったけど、それでも特別な瞬間だった。(ロッベン、試合後のインタビューにて)

特別な瞬間に立ち会えたこと、そして今ではもうなかなか観ることの出来ない、ピッチ上の「ロベリー」を観られたことは、一生忘れられない思い出になった。

勝利の帰路は最高だ!

結局試合はそのまま3-1で勝利。バイエルンは首位をキープし、ハノーファーは2部降格がほぼ確定した。

68000人のほとんどは行きも利用した駅から電車で市街地へ帰る。入場規制がかかったが、それでもものの10分ほど並んだ程度で駅に入れた。

唯一運が悪かったのは、帰り道、駅に入るために並んでいた途中でスコールに降られたこと。ドイツの人はほとんど、フードを被って雨を凌ぐ(相当なことがない限り傘をささない)ので、空気を読んで傘をさせず、かなり濡れた。私も、次回からは撥水性のフードのあるものを着よう。

あと、車内のスリは本当に気をつけて。鞄は上着の下に。

行きたい所には行ってみる。

チケットもないままスタジアムに飛び込み、一生観ることが出来ない瞬間をみせてもらった。これだから、サッカー観戦は楽しい。

そしてドイツの国柄も、私の心を鷲掴みにした。ご飯が美味しい。交通網がしっかりしている。そして、人が温かい。私はドイツ語がさっぱり分からないけれど、意地悪だったのはフランクフルトの展望台のチケット売り場のおばちゃんくらいで(何言ってもドイツ語しか喋ってくれなかった)、みんなとても優しかったし、道中でも色んな人と仲良くなれた。

ブンデス観戦はまた絶対に行きたいし、イギリスもスペインも、ミラノやパリにも行きたい。

コロナの収束が見え始めた暁には、また旅をしよう。

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