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バカ野郎!ひとりにしないでよ。アメリカで夫に先立たれた妻のバイブル(9)

  • おもいで酒

「無理して飲んじゃ、いけないと♪ 肩をやさしく抱きよせた、あの人どうしているかしら♪ おもいで酒に酔うばかり」

ほんと、何が苦しいって……ひとりの時間がきついんだよね。一緒にいた時は、正直たまには「1人になりたい」って思っていたのに、今はこのひとりの時間が切なく悲しいの。一緒に食べた料理も作ってみたけど、ひとりだとこんなにも味気ないんだね。知らなかったよ。

街外れのコーヒーショップ。窓際のカウンター席。

パソコンを打ちながら、ふと外を見ると老夫婦と一匹の老犬。言葉もなく歩いているけど幸せが伝わってくる。前にもこんな景色を見た事あったよね。
「僕たちの未来だね」って、2人で笑ったんだよ。

私はひとりぽっちで昼間から生ビールとカペチーノとバナナブレッドを頼んで、ぼんやりと窓の外を眺めてる。外からは店の中が見られないガラスだから、流れる涙も誰にもわからないよね。

店内の曲、なぜかあなたが好きだった曲ばかり流れてる。どうしてなんだろうね。私の後ろにはたくさんの人がいて、楽しそうに会話している。窓の外にも人が歩いてる。流す涙に気がつく人など誰もいない。

ねえ、どこにいるの?
わかっているんだよ。もう2度と会えないことぐらい。でも、やり場のないこの心をどこに捨てればいいの? 私の知らない世界へ旅立ったあなたは今、幸せ?
昼間からひとりビールを飲んでる私を軽蔑する? 怒りたいなら何かサインを頂戴よ。あなたが今も私のそばにいるんだって教えてよ。

いつもは冷静な私だって、こんな日もあるんです。

今まで、ずっと泣く事が出来ずにいました。脳がフリーズしていたのだと最近気がつきました。亡くなってからの記憶がありません。

このブログも読み返してみたらひどいものです。これがプロの文章って、私でも思いますもん。頭も心も全部が壊れているのに、隠しながら必死に書きなぐって、自分を冷静に保とうとしている。なんとも情けない私。これが今の精一杯。

昼間からお酒を飲んでボーッと外を眺め、哀愁たっぷりの私。季節が秋でよかった。景色に溶け込めるから。

ちょっとおしゃれな街外れのコーヒーショップ。

こんな、おもいで酒にようお客もいるんです。