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今日ときめいた人147−陶工「15代沈壽官(チン・ジュカン)氏」

16世紀末豊臣秀吉が朝鮮出兵した際、薩摩藩の島津義弘によって薩摩国に連れてこられた陶工、沈壽官。その15代目。先祖渡来から4世紀になる1999年に15代目を襲名したという。

九州一周旅行の時、彼のインタビュー番組をたまたま見て興味が湧き日置市まで足を伸ばした。その一帯は通りを挟んで窯元や陶器店が並ぶちょっと異空間だったという記憶がある。


その時買い求めたのが上記の片口と黒薩摩のぐい呑み。私は湯呑みとして使っている。

黒薩摩のぐい呑み
壽官の刻印
とってもいい色合いで手触りの良い片口です

お店には素敵な陶器がたくさん並んでいたけど我々の手が届くのはぐい呑みぐらいだった。片口はもう少し高かったと思う。

沈壽官窯の作業場

今思えば、その時お店に座っていたのは14代沈壽官さんだったのだと思う。2024年5月17日付朝日新聞に掲載された記事によると中学校時代には朝鮮人といじめられたという。同じ経験をした父親から、

「1人になっても信念を貫く一人前の人間になれ」

と諭されたという。その後も「自分は何者なのか」という問いに悩み苦しんだという。父親を主人公にした小説「故郷忘じがたく候」を書いた司馬遼太郎に打ち明けたところ、

「日本人であろうと願いながら、朝鮮や中国の人の悲しみもわかる人間になりなさい」と返事があったという。そして心が定まったと。

「自分は日韓のみぎわに生きよう」


表札には「大韓民国名誉総領事館」とある


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