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母の事

給湯器が壊れた。
ので、家族四人で私の実家にもらい湯にいく。

言うまでもなく私と母の関係はそれは理想とは
程遠く、私の思春期は夕飯をお風呂で吐くこと
に費やされた。

母に体調を崩していること、強迫性障害の薬を
倍にしたことを説明するが、耳が遠い、そして
精神疾患などの存在を信じない母には届かない。

「気のせいだよ。」
と母は一言。
あの時と同じだ。吐くことを止められないわたし
が「助けて」を言えなかったあの時と。

私は静かに諦める。母もまたしんどい人生だった
のだろうか。老いた母はあまりに愚かで切ない。
娘を心配する母が帰りにくれた麦茶を作る。
今年も夏が来る。

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