人生初のトラウマを抱えた話

「テーマパーク」というプレイステーションで出たゲームをご存知ですか?
遊園地を経営するシュミレーション型で、プレイヤーは遊園地を世界各地の土地で経営を行うゲームだ。
発売年は1994年。ヒットしたのかその後にも「新テーマパーク」「テーマパーク2001 」「テーマパークDS」、同じシリーズで「テーマアクアリウム」「テーマホスピタル」など、遊園地以外も経営するタイプも発売している。

そんな「テーマパーク」に出会ったのは(年齢がバレてしまうが)私が小学三年生の1998年、家の近所でのですフリーマーケット。
惹かれるものが出会えたらいいなと探索していたら目を奪われるタイトルのゲームだった。
遊園地は大人になった今も好きだが、当時は簡単に行けない憧れの場所。そんな遊園地をゲームで体験できる!?と思いつつ、900円の値札に小学三年生のお小遣いじゃ簡単に払えないため躊躇し、一旦その場から離れた。
しかし、その後も私の頭から「テーマパーク」というタイトルが頭から離れず、結局出店者に交渉して700円にしてもらって購入した。

私はそのまま家に帰り、ウキウキしながら早速プレイ。しかし、このゲームはキラキラ輝く遊園地ゲームと思いきや、操作は非常に頭を使う経営ゲームだったのだ。

アトラクションを設置すればアトラクションが故障した時の修理スタッフを雇い、ショップを設置したら仕入れ数を考えて発注したり、食べたあとのゴミを回収する清掃員を雇わなければならない。
それ以外にも、テーマパークの入場価格、ショップの販売価格を適正に調整しないと利益が出ない。
また、アトラクションの開発費用を出したり、株式売買も行わないと費用も無くて、新しいアトラクションを設置できなくなる。
入場したお客の心境が絵で吹き出され、何が不満か把握しお客の要望を応えていかないと評判が下がってしまうため、お客の要望に対してアンテナを立て続けなくてはならない。
もはやRPGゲームとは全く違う方向性で頭を使わないといけない経営ゲームなのだ。

当時、小学三年生の私にはそこまで把握できるわけはない。最初は何も考えずでもうまく経営できていたが、どんどん規模が大きくなるにつれ詰んでしまった。
黒字の値が右肩下がりになっていき、赤字経営で借金を抱え込み、遊園地を競売にかけて資金源を作ろうと模索する。
しかし、この時には既に評判も地に落ちて誰も買ってくれない。
そして、一定期間借金を抱え込んだ状態が続くと、自己破産をするのだ。

以下ネタバレになるので、嫌な方は読まないほうがいいです。
借金を抱え込んだ状態が続くとゲームオーバーになるが、その時に流れるムービーが衝撃だった。
家に置いてある家族写真に反射されて映ったプレイヤーが窓から落ちて自殺を図るムービーだ。
(よくよく見ると、落ちたあとに窓から顔を出すので実は落ちたのは一階で死んでいないのだが、当時小学生の私はそこまで理解が出来るわけはない。)
このムービーに衝撃を受けた私はそのままゲームの電源を切り、自分の部屋の布団に潜った。
これが俗に言う「トラウマ」を経験したのだと思う。しかし、当時の私はまだトラウマという言葉を知らない。
自分の心情を理解できず、けれど気分が悪いままではいられないため、そのまま布団に丸くなって潜ってひたすら耐え凌いでいた記憶がある。
そして、少し月日が経過した後に再度プレイをするが毎回自己破産からのゲームオーバーで心を病ませ、何度もプレイヤーを窓から飛び落とす結果しか結び付けられなかった。

2022年。あれから24年という年月が過ぎた。
去年一昨年は自己破産の起きない「あつまれどうぶつの森」をプレイして心穏やかにすごしていたはず。
なのに、ある日急に「テーマパーク」のゲームを思い出し、思い出すきっかけはわからずのまま、当時の私では遂げることができなかったゲームクリアを、今ならできるのではないかと過信してプレイ出来る状況を調べるが、今の私は手元には任天堂のSwitchしかなく、全く同じ「テーマパーク」を手にするにはプレイステーションを手にするしかなく膝を折るしかなかった。
(正直「新テーマパーク」の方が面白そうなので「新テーマパーク」をやりたいが、そちらのほうがダウンロード版すら無さそうなので、出来ない確信しか持てない。)
やれたとしても、私はのび太の如く経営センスが壊滅的のため、また一人プレイヤーを窓から突き落とす最期しか見届けることしか出来ないから、できないままの方が幸せではないかとは思う。
今回筆を執ったきっかけは、自分の欲望をある程度文章に残せば、欲望が多少昇華できると思った次第。
けれど、そろそろ書き終えるはずなのに全く熱が籠もったままなので、今度実家に帰ったらVita持ち帰ってダウンロードしてしまいそう。

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