マガジンのカバー画像

軽SF/軽ホラー

187
緻密なのは書けないけど、日常に潜むちょっとしたこと。これならなんとか…(^_^;)
運営しているクリエイター

記事一覧

ピンチ〔けん🍀✨さんに捧げます〕

室内になく、ベランダにもなかった。
いつも置いてあるところにももちろんない。
どうしよう、どうしよう。

大丈夫よ、なくたって。

お隣の奥さんの声が甘い。
大丈夫、かな・・・

飛んだ、何もかも。
夫のお気にの白ポロも。
拾ってもっかい洗ったけど、もとの白には戻らない。
ああもう夫帰ってくる。
どうしよう、どうしよう、どうしよう!!!!!

でもって奥さん飛んだのね。

あたり血の海。
迷惑な話

もっとみる

実はこんな社会〔架空未来〕

※ あくまでも
  あくまでも
  これはフィクションです 

大災害が起きた場所的に
為政者どもは躍り上がった
老人等生活弱者の多い地域だ
このまま見捨てれば、福祉予算が余るぞ
健康で、若い世代だけ多く助ければ
国が若返る!

神風の吹く国だからねえ
ありがたいねえ全く

災害派遣もあたしたちの仕事になってしまった
だって“見える”もの
あそこに一人
あちらに四人
あっちはだめ
みんなしんでる

もっとみる

焼かれるおんな〔連想力・直感力の著しいかた、情景が生々しくリアルに浮かびすぎるかたにはお勧めできません〕

まるで焼却炉だと、私は思った。
でもあのゴウツクバリのババアが焼かれるんだから、こんな程度の場所でいいのよ。
こどもっぽい、きかん気の息子を押しつけられて二十年、その死後今度はあんたを看させられて十二年。
焼却炉ででも焼いてやらなきゃ私の憎しみはおさまらない。

精進落としのビールをやりながら、私の頬はもう半ば、だらしなく緩んでいたりもする。
その間も『彼女』は順調に、程よく焼かれてゆくのだが、誰

もっとみる

世にも恐ろしいクリスマス〔星新一さんにオマージュしてみました。あまり気分のいい出来ではありません。閲覧注意〕

クリスマスには願いが叶うって

ショウコ、何を願ったの?

ママのおみせが賑わいますようにって

孝行娘だねえ

あとね



お客さんのノグチさんが・・・

??

パパになってくれますようにって

!!

何ママ青い顔して

な、何でも無いのよ
さ、ケーキ食べよ

ピンポーン

あれ
誰だろう
どなたですか

野口です



うわー
噂をすればだ
いまあけまーす

ショウコだめ!
ノグチ来

もっとみる

はず・・・・〔ほんとは怖いセント・ニコラウス〕

サンタクロースは夜を走る
トナカイのそり
たくさんの白い袋と
たった一つの黒い袋と

よい子には
ホウホウと朗らかな声とともに
白い袋から取り出すプレゼント
よくない子には?
何もあげない
それそころか
その手を掴んで引っ張って、
黒い袋に突っ込んでしまう
その瞬間から一年間
家族はその子を忘れてしまう
学校も地域も忘れてしまう

一年後
改心した子は返される
親のもとへ
地域へ
改心した子はもう

もっとみる

2500viewって・・・

他サイトの話で恐縮なのですが、
こんな小品を2500も見ていただいていました(>_<。)
誰もしらないケータイ捜査官たちが、報われるのは嬉しいです

だよねカッサマ(>_<。)

ラジエーションハウスデイズ〔二次創作ラジエーションハウスデイズ+ケータイ捜査官セブン〕

診療放射線技師として働く日々、
意外に忙しく、
帰宅もあんまりせずに、造影技術に磨きをかける日々に、
僕はかれに労られた。

少し

もっとみる

平和を呼ぶ(はずの)メカ

オーラウォッチャーが売り出されてから、つまらない喧嘩はめっきり減った。
わざわざ手合わせする前に、相手の力がわかるから、流血の惨事を避けることができるのだ。
平和な時代が来そうだと、誰もが一時信じたが、大して長くは続かなかった。
みんなくっきり理解したのだ。
自分だけで倒せなくても徒党を組めば何とかなる。
そして集めるべき人数を、オーラウォッチャーが教えてくれる・・・・・
なるほど結果のわからない

もっとみる

きよ〔30年前バージョンを、今の私の表現でものす。いささかホラーです〕

 部屋の片付けが嫌いなこと。
 私の一番の欠点といえば、何をおいてもこれだろう。
 三カ月前に平らげてしまった、菓子の空き袋もその辺に投げたまま。
 遊びに来た友人が、あれはあんまりだと言ってたし、片付け魔の友人は、

「頼むから私に片付けさせて」

と、泣かんばかりに私にせがんでくれたけど、片付け嫌いなくせに人に室内をいじられるのを嫌う私は、ほんとにすげなく断ってしまった。
(ために、彼女とは今

もっとみる

きよ〔30年前バージョン。若干ホラーです〕

 部屋の片付けが嫌いなこと。
 私の一番の欠点といえば、何をおいてもこれだろう。
 三カ月前に平らげてしまった、菓子の空き袋もその辺に投げたまま。
 遊びに来た友人が、あれはあんまりだと言っていたし、片付け魔の友人は、「頼むから私に片付けさせて」と、泣かんばかりに私にせがんでくれたが、片付け嫌いなくせに人に室内をいじられるのを嫌う私は、ほんとにすげなく断ってしまった。
(ために、彼女とは今でも絶交

もっとみる

『信じられない光景を見た』場面から始まる物語〔けん🍀✨さんに捧げる一作です〕

信じられない光景を見た
ズラリと並ぶ地球地球地球・・・
32個は確実にある

ですからね
一個や二個だめにしたってやり直しはきくんですよ

工場長の得意げな言葉に苦いものがこみ上げる
唯一無二でないと、人は大事にしないのだろか

とりあえず31個潰したが
オリジナルは壊滅した
だからそう、これが最後の地球だ
だから諸君
改めて言う
大事にしてくれたまえ

漂泊

51州目にぼくらは生まれた
星条旗のデザイン変更がけっこう大変だったらしい
ソルトレークのあたりには、モル□□教徒も多いから、ちょっとは揉めたりもあったらしいけど、世界が認めたぼくらの『国』、シオン州はいつも安定してる
老人たちはぶうぶう言ってる
エルサレムに国が建つはずだったって
イギリスもフランスもそれでいいって言ってたのに、いざとなったらイスラ□に遠慮しやがって、みたいな
だから老人ほど、エ

もっとみる

消しマジアプリ〔りみっとさんに捧げる一作、ではない一作(汗)〕

壮年期ののちに映画を作り始めたりみさんには、りとさんという妹がいる。
何もしてこなかったから、と今を充実させようと決めてるりみさんとは対照的に、りとさんは一切の不満もしくじりもないようだ。

ないっていえばないんでしょうけど・・・
厳密に言うと違うんです。

りみさんは声を潜めた。

消しマジアプリ

過去の写真からも、人物とか消せる、消しマジアプリってありますよね。
りとのスマホの中のアプリ、イ

もっとみる

てのひら

今日気がついたのだが、最近私は忘れたことを思い出すときに、右手を半ばかざしているようだ。
料理をダイニングに運ぶとき、冷蔵庫から何かを取り出すとき等、思いだすよすがにその仕草をしてる気がする。

ある夜半。
目を開けても、何も見えなかった。
常夜灯は点いてるはずなのに。
どういうこと?
と右手をちょっと上げたら

常夜灯下の夜半の室内が目に飛び込んできた。

ぞっとして、

おそるおそるてのひらを

もっとみる

仁保

ズタズタだった髪を、なおしてくださったのはお母さま。
娘のように可愛がってくださった。
九鬼では力しか求められなかったのにお母さまは、私が弥栄をころそうとしたことまで受け止めたうえで、
仁保ちゃん
仁保ちゃん
って可愛がってくださった。
だからもういい。
私は弥栄守って消えよう・・・

目が覚めると、仁保の長い髪が俺を覆ってた。
七メートル。
いやそれ以上ある。
俺を覆い尽くして余りある黒髪の中で

もっとみる