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【詩の雑感】 瀧口修造「蝸牛の劇場」

 ある詩についてああだこうだ述べる「詩の雑感」というものをやってみたいと思う。詩について造詣の全くない私ではあるが、そんな私が私なりに感じたことをただただ造作もなく書いてみようと考えている。
 今回取り上げる詩は、瀧口修造「蝸牛の劇場」。


白と黒の窓がひらく
蝸牛の眼は見た
あるときはうつくしい目だけを
あるときは青いリボンだけを
あるときはシガレットの灰だけを
そして彼は恋をした

ひっそりしたトリトンの噴水!

夜半 だしぬけに大きな掌が翻った
トランプのように華やかに
太陽が彼の純粋な眼を盗んだ
いろはにほへと
彼は卵形に捩れている

瀧口修造「蝸牛の劇場」

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