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散文

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【散文】を集めたものです。
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記事一覧

【散文】輝きの残り香が漂う場所

 ここは昔栄えたが今は廃れてしまった地方都市。私はこの街が好きで時々訪れる。抜け殻となっ…

憂
1日前
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【散文】大雪の外

 外は大雪である。私は初めて訪れた喫茶店でひとり、本を読んでいた。天気予報では雪が降る可…

憂
5日前
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【散文】とある古書店での出来事

 私の家の近所にとある古書店がある。この古書店はとても狭く、置いてある本の数も少ないのだ…

憂
7日前
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【散文】色は匂えど

 窓を開けると、寒気が私の部屋の中に吸い込まれてきて、それが私の顔をかすめ、顔に冷水をか…

憂
10日前
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【散文】杞憂を願う掌

 目を凝らし掌に力を込めて、砂で作った山を何度も固める。辺りが暗くなってからもう長い時間…

憂
11日前
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【散文】永遠の夏の早朝

 夏の早朝の浜辺の波打ち際を歩いていた。太陽はすでに昇り始めていて、少しの靄がかかり仄明…

憂
2週間前
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【散文】想いすぎたがゆえに

 窓の外を見ると建物と建物の隙間からわずかに空が見える。曇天。私は再びソファで横になり、毛布にくるまった。夕方四時。私は、簡単な家事をした後はただただあなたの帰りを待つだけの人生を送っていた。もしあなたが帰ってこなかったら?これがすべて夢だったとしたら?そんな他愛のないことをいつも考えてしまい、焦燥感に襲われ発作を起こす。  家のドアが開く音がした。午後五時。いつもあなたが帰ってくる時間よりかなり早い。玄関に駆け寄ると「ただいま。仕事が早く終わってね」と微笑みながら言い、靴

【散文】青年の行動

 朝五時。居間では老夫婦が神棚に向かって手を合わせている。二人は毎朝三十分程度、世界平和…

憂
4週間前
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【散文】森での再会

 深い森を歩いていた。樹々や草たちの匂いが飽和している。どこからか鳥の鳴き声が響きわたる…

憂
1か月前
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【散文】夜中の出来事

 夜中、私は眠れずに家の近くを歩いてみた。人気は全くない。仄暗い電灯がどこか寂しい。だが…

憂
1か月前
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【散文】逃れられない

 川沿いを走っていた。何者かが追いかけてくるのである。そいつから私は逃げていた。川を飛び…

憂
1か月前
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