決して完璧ではないジェンダー平等ースウェーデンのワークライフバランス:ネガティブ編②
ジェンダー平等が進んでいるスウェーデンですが、もちろん完璧な訳ではありません。
育児のために労働時間を縮めるのも、VAB(子供の看病休暇)を取るのも女性の方が多いです。その結果年金に影響が出て、離婚した後の女性で貧困になる人もいるそう。
日本で、専業主婦になって方離婚してパートタイムや契約社員という不安定な立場で生活を工面するシングルマザーと比べると、まだ正社員として働き続けている分生活に余裕はあるかもしれませんが、決して完璧なジェンダー平等ではない、ということを記しておきたいと思います。
女性の方が仕事を縮めがちな一つの理由は、女性は看護師や先生、公共機関など比較的賃金の低い職に就くことが多いということです。スウェーデンでも、職業における性別の偏りは存在します。どちらかが育児のために収入を減らすとなれば、収入が低い方がその役割を担うことになるのは合理的です。しかしその後例えば夫婦が離婚するとなったときに、仕事量を減らしていた方がその後の出世が遅くなったり年金が少なくなったりするという問題になるのです。
また、自分自身の考えにはなりますが、根本的な理由として、女性の方が母性が強いからということもあると思っています。完璧なジェンダー平等を目指す人にとってはそんな事実はない、と言う人もいるかもしれません。ですがいろんなお母さんお父さんの意見を聞いた上で、少なくとも私は母親の方が、自分自身で子供を産んだ分、父親よりも多少なりとも強い感情があると思っています。
だから私は、個人が望むのであれば、完全に時短勤務やVABを夫婦で1:1にしなければならない、という考えは全くありません。
ただ、もしも社会からのプレッシャーや規範によって不平等が生まれてしまっているのであればそれは正されるべきだと思っています。
またスウェーデンは多くのオフィスにおける男女の数の比は平等であるということで有名です。特に公共機関における女性の比率は5割を越えていたかと思います。また政治(議会)における女性の数もほぼ5割でありジェンダー平等国家と言われる所以であると思います。
しかし民間企業を見てみると、特に管理職における男女比は未だ男性の方が多い(女性の比率は36%)のが実情です。もちろん36%とは日本(10.9%, 2019)と比べるとかなり高いのですが。
一度大学内で大きなjob fair(企業の説明会) があったときに監査法人の方と話しました。「男女比はどんな感じなの」と聞くと胸を張って「半々よ!」と答えてくれましたが、「じゃあ管理職は?」と聞くと少し顔を曇らせて「管理力は男性の方が多いわね、、」と答えてくれました。そのスウェーデン人の方の考えでは、男性の方がビジネスにおいて筋肉質であり(語彙は私の英語の解釈です)、自信をもっていて強いと見なされているからとのこと。
ジェンダーを学んだり企業における女性のマネジメントについて話を聞いていると良く聞く話です。女性の方が自分への自信がない、控えめであるということ。
それは本当になぜそうなるのか分かりませんが私もそうだと思っています。私自身、成功経験を積み重ねても、自分になかなか自信を持てないことが悩みであったりもします。
スウェーデン人の女性は臆さず堂々と話す人が多く、たまに日本人気質なシャイな人もいますが、日本と比べると強い女性が多い気がしています。それでも同じような問題を抱えていて、またそれに対するアプローチ方法(公共機関・民間による女性のリーダーシップ自己啓発セミナー的なの)も似ています。
結局何が言いたいのかと言うと、まずは、自他共に認めているジェンダー平等国家のスウェーデンでも完璧ではないということ。そんなことは留学する前から想像がついていましたが、実際に、ジェンダーについて聞くと堂々と「スウェーデンはジェンダー平等だ」と言っているスウェーデン人が、少し決まり悪そうに平等でないところを認めるところを見て思うところがあります。
それは、スウェーデンはジェンダー平等である、という前提が頭にあり、またそうでなければならないというプレッシャーを少なからず感じているのではないかということ。だからこそ、スウェーデンは他国と比べて平等になるまでのスピードが速いのではと思います。世界でもジェンダーの先進国と言われているのだから、このような数字が合ってはならん、と。
そもそも完璧なジェンダー平等などなく、もし全てのセクターにおいて男女比が半々だとしたら、私は不自然を感じます。人それぞれ選択があり、その男女比が必ずしも半々になるわけがないからです。個人的には4:6位(どちらが男性女性かは関係なく)になっていれば社会のプレッシャーの影響は少ないと言えそうだし、十分でないかと思ったりします。その点で、スウェーデンがどこまで数字を達成すれば満足するのだろうと興味深くもあるところです。
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2019.8-2020.7まで、スウェーデンに留学しています。留学テーマであるワークライフインテグレーションやジェンダーのこと、留学日記、その他心に浮かんだことをつらつら書いていきます。