見出し画像

スウェーデンを日本に取り入れるには④ ー職場ができる2つのことー


前回からとても間が空いてしまいました、”スウェーデンで学んだワークライフバランスを日本に取り入れるには”、4つ目でありラストの職場編です。ちょうど一週間前にオフィシャルに交換留学が終了日を迎え、最後の三ヶ月は日本に帰国していたものの、これで本当に留学が終了しました。留学を振り返りながら、連載最後の記事を書いています。


さて、実は日本の男性への育児休暇取得支援は、世界でもトップレベルです。ですが、育児休暇を取りたいと考える日本の男性は多いものの、実際に取る人は約6%。その理由としては、“職場の雰囲気”“仕事量が多い”などだそう。どれだけ法律が変わっても、現場が変わらなければなかなか変化は起こりません。スウェーデンで働く人たちが子供が休んだときに堂々と仕事を休んだり、夏休みや育児休暇を男性女性に限らず長く取ったりするのは、やはりその分いくらか効率的にお仕事をしているからかなと思います。
日本の財政と人口から、スウェーデンと同じことを全て導入することは不可能ですが、これなら取り入れられるのではと私が考える二つのことについて書こうと思います。

1,意見を自由に言える雰囲気作り
スウェーデンの職場はとてもフラットであるとよく聞きます。そのためポストの上下に関係なく意見を自由に言う雰囲気があるそうです。職場では社員同士名前で呼び合うことが当たり前なのもスウェーデンならではです。上司に“なぜこの仕事をしなければならないのか。無駄ではないのか”と意見を言うことも少なくないそう。こうして立場の上下関係なく、職場全員の視点が仕事に取り込まれることで、無駄な業務が減っていくのです。まだ日本で社会人をしたことがない私ですが、上司に“この仕事は無駄ではないのか”と言うことが難しいことは分かります。
留学に出発する前に、働き方コンサルタントとして働いていらっしゃるとても尊敬する方にお話を聞いたことがあります。その方は、各企業の社員さんたちが日頃考えている“こうしたらいいのに”をファシリテーターとして引き出し、実行することを助けることで働き方に変化を起こしているそうです。上下関係や空気を読むことを重んじる日本だからこそ、普段は口に出せない“こうしたらいいのに”を、コンサルタントが入るということをきっかけに共有することによって働き方が変わっていく、と私は理解しました。つまり働き方の変え方は社員にはもう分かっているのです。それはスウェーデンでも同じこと。違うのは、コンサルタントが入らなくても考えを共有できるから、日々業務を効率化していけるということです。
立場に関係なく意見を言いやすい雰囲気作り、というのはどんな職場でも小さなことから取り組めると思います。業務の中で感じた疑問を言葉にしやすいということは、働き方だけでなく、顧客へのサービスなど多方面に好影響を与えられるのではないでしょうか。

2,働く場所を限らない
コロナの影響で日本でも在宅勤務が急増しました。やってみれば以外とできた、というところが多いのではないでしょうか。以前の記事で書いたように、スウェーデンでは家や電車の中で働くことが普通に受け入れられます。子供の看病をするためにお休みを取り、子供が寝ている間にネットで会議に参加する、というフレキシブルな働き方は全く珍しくありません。「そのためにいつでもスピーカーを持ち歩いているんだ」と、インタビューをした企業の社員の方は言っていました。また、会議中に子供が画面に登場することで、シリアスな雰囲気も和むという効果もあるそう。


日本で1・2年前に参加した働き方を考えるセミナーで、在宅勤務でも行える業務であるのに、部下が目の届く範囲で仕事をしていないと不安だからという理由で在宅勤務を許可しない上司への不満を話される方に出会いました。私は、日本人は世界的に見てとても真面目で責任感があり、あまりサボらない気質であるため、オフィス外勤務に向いていると思っています。このコロナ禍で強制的にですが在宅勤務をする人が増え、そのための仕組み作りやデジタル化などが急ピッチで進みました。やはりオフラインに比べるとコミュニケーションがしづらいところはありますが、お互い既に知っている間柄なら、ZOOM会議でも案外大丈夫だと分かったのではと思います。せっかく在宅勤務ができる環境を整えたのだから、これで終わりにせずに、今後も社員が働きやすいように是非フレキシブルな働き方として取り入れて欲しいと思います。また私たち自身も、コロナウイルスに強制されたら在宅勤務ができることを知っているのであるから、そういったフレキシブルな働き方を自発的に求めていくことも大事だと思います。


前回からとても間が空いてしまった記事になりましたが、これにてひとまず私のスウェーデン・ワークライフバランスの連載は終了となります。これまで記事を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました!!皆さんから頂く”スキ”が私にとって大きなモチベーションになっていました。少しでも、スウェーデンの働き方について、ただのイメージではなく理解をしてもらえたら、またそこから学べることについて少しでも参考になっていれば嬉しいです。

私は今回の留学を通して、いろんな国の異なるバックグラウンドを持つ人たちと会話をすることで、世界の政治や食文化、宗教や景色を知り、またそれに関するいろんな価値観の違いを感じることの楽しさを知りました。今でもまだ世界には私の知らないことがもうそれはそれはたくさんある。もっと世界のことを知りたいと今でもワクワクしています。それを踏まえて将来的には、いろんな国でいろんなバックグラウンドの人と働き、また現地の働き方を今度は本当に現場で働くという視点から、日本に向けて発信をしていくような活動をしたいなと思っています。国際×ワークライフバランス発信という、自分自身もワクワクする、私だからできることをやっていけたら。その時にはもっと発信頑張るので、また応援してもらえると嬉しいです!

それでは、長い間ありがとうございました!

2020.6.13 Ami



2019.8-2020.7まで、スウェーデンに留学しています。留学テーマであるワークライフインテグレーションやジェンダーのこと、留学日記、その他心に浮かんだことをつらつら書いていきます。