見出し画像

コンビニ人間/村田沙耶香

▫️あらすじ
「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて……。現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。

▫️感想
まず「コンビニ」という一つの題材で、ここまでぞわぞわと心がざわっとする物語が書けるのかと感嘆した。「コンビニ」という知らない人がいない、誰にとっても身近な場所が舞台となっているため、読者を引き込みやすい構造になっているのではないのだろうか。
また、「コンビニ」に対する描写が印象的であり、(例えば「小さな光の箱」や「透き通ったガラスの箱」など)”音”についての表現も多い。普遍的な場所である「コンビニ」を多角的に観察し表現しており、文学的な質の高さも感じることができる。
これまで自分が思い描いてきた「普通」を根本から覆される、また本当の「普通」とは何か考えさせられる一冊。

▫️心に残った一行
P123 「普通の人間っていうのはね、普通じゃない人間を裁判するのが趣味なんですよ。」

▫️こんな人におすすめ
・心がざわざわする物語が読みたい
・自分の常識を覆される一冊が読みたい
・文学賞受賞作を読みたい

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?