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春のせいで不調なのをやりすごす日のうちの一日

 ほぼいつも通り11時前くらいに、瞼の浮腫みがあって、まだ誰にも見られたくない洗顔前の状態で、洗面所にいた。春のせいか目が結膜炎で慢性的に熱を持っている感じで、出来ることならアトピー性皮膚炎の患部によくやるように熱湯をかけて痒みを麻痺させてしまいたいとちょっと思った。歯磨きをしようと鏡の裏側の歯ブラシを取り出すために洗面台の棚を開けた瞬間、ちょうど目の前の位置にあった、母が洗濯洗剤をかき混ぜるための蓋付きのビンの上に軽く置かれていた青いテープが落ちてきた。いきなりだったので物凄く顎を引いて咄嗟に両手を差し出していた。テープはこれから水を流そうとしていた洗面台に落ちたので、落ちてこないように慎重にまたビンの上に置いた。こういう時、私の周辺の出来事である以上、いかにももう一度どころか何度も落ちてきそうな雰囲気がするけれども、それは無かった。もうあと一回絞り出したら中身が無くなると思えるシャボン玉石けんの歯磨き粉のチューブを力を込めて絞って、歯磨き粉を歯ブラシにめり込ませた。まず下の段の歯を磨き始める。ずっと昔、確か古舘伊知郎が司会をしていたバラエティ番組で、歯磨きをする時、下の段を磨いた後、一度歯ブラシを洗わないまま、その汚れがついた歯ブラシで上の段の歯まで全体を磨くと雑菌が口全体に行き渡るという結果を見てから、習慣として下の段の歯を磨いた後、一度歯ブラシを水で洗って、もう一度歯ブラシに歯磨き粉を付けてから上の段を磨くようになった。歯磨き粉を沢山つけて歯ブラシで手に力を込めて磨くので、結構疲れる。浴室の方を向いてしゃがんでハミガキをしていたら、口の中の唾液が、いきなり押し出されたみたいに歯磨き粉と合間って泡状でいきなり口から垂れてきて、寝巻きの黒い長袖シャツの胸元に垂らしてしまった。私はいつも歯磨きをする時、洗面台で歯磨き粉を吐くタイミングが上手く掴めなくてよくこうなってしまう。もともと無職な上に、なんとはなしに今は調子が上がる前の状態という感じがして、ここ数日はずっと自宅で過ごしている。そのため自分の感覚のままに、特に何もせずにずっと家にいるのだけども、春だからか朝と昼で寒暖差があって、その気温の変化を家の中にいても感じるせいか、部屋で過ごしているだけで体調が悪い。こういう状態だと、平然と毎日パジャマを着ている状態が正しいということになってしまうけども、今はそういう時期と認識するしかないだろう。こういう風にひたすら慢性的になんとなく辛いままでいられるのも、実は薬があるからである。25歳の頃に左側の卵巣の皮よう嚢腫を腹腔鏡下手術で取って以降は、その手術をきっかけに低容量ピルを服用している。これを飲んでしばらくした頃に友人と食事をした時、「あみちゃん、めちゃめちゃ肌綺麗になった」と言われた時のことはよく覚えている。16、7歳くらいから、生理痛も重かったけども、とにかく肌の乾燥が酷くて、特に頬は皮膚の奥の方から乾いているような感触で、髪に至っては癖毛と乾燥が本当に酷く、世の女性が気楽にダウンヘアに出来る髪なのが、かつての私には絶対にそんな状態で外を歩くのは考えられず、いつも後ろに一つで縛っていたか、それ以降今現在そうであるようにショートヘアかである。その短い髪を眺めていても、ピルを飲み始めてからは格段に毛の癖が無くなって艶が出て来た。高校時代にピルに出会っていたなら、私はもっと見栄えの良い女子高生でいられただろう。いつも乾燥した髪を、乾燥して櫛の歯の根本に埃が溜まっているつげ櫛で引っ張って梳かしていた。部屋の中央を占めている座椅子の左側に鏡台の引き出しにその低容量ピルが入っていて、その右側にはAmazonで注文したミニテーブルのが置いてあって、養命酒やら粉末のスポーツドリンクの元を入れた2ℓのペットボトルの水やのど飴を置いている。いつものようにピングーのイラストが書いてあるプラスチックの小さめのコップにそのスポーツドリンクにしてある水をついで薬を飲もうとしたら、前日の夜にイージーファイバーを入れてしまったことを思い出した。食物繊維の入っている水で薬を飲みたくないなーと思ったらけども、春に特有の寒さに免じて、そのままそれで薬を飲んでしまう。それからリビングに移動して、この時間にはもうレースカーテンが全て開いて、庭が見えているのだけどもその光景もレースカーテン越しに見ているような気分でキッチンに向かうと、ぼんやりとした感覚で取り掛かってしまったせいか、チキンラーメンの上で卵を割る時に、卵に親指をめり込ませてしまい、小さい殻が卵の上に落ちてしまった。そのまま指で殻を取って捨てたけども、以外と滅多に無いことなので、なんだかよっぽど自分が冴えない感じがした。今日は一日自宅で寝て過ごすことにした。春になって以降、この雰囲気の日が数日連続するのが日常だった。毎回この状態になると、本当に岩盤浴に行きたくなるのだけども、隣駅の副都心まで行って過ごす手間を考えれば遅くても昼前には家を出ていないと家族全員で食卓につく夕飯に間に合わないので、結局そのまま実家で過ごすことになる。何か体をほぐすことをしようかと一瞬考えついたけども、頭蓋骨が貴金属で出来ているかのように硬く重たく感じて、それをする気にもならない。その体が硬い状態を休ませようとすぐベッドで横になってしまう。早朝覚醒するせいで、結果的に日中睡眠不足になっているのもあるけれども、おそらく体が季節の変化を受けて緊張して疲れているのではないだろうか。それに加えてずっと眠って動かないせいで体が硬くなる。こういう体で食事をしたり、トイレで用を足したり、その合間合間に子供用の知育玩具をいじっていたりすると、朝が遅いせいであっという間に2時か3時になってしまう。一日自宅の日は布団の中で過ごすことが多く、その時間帯に布団を被ってスマホや知育玩具をいじっていると、いつもそのまま寝てしまう。以前紛失した知育玩具は洗濯機の中から出て来て、無くした時点でもう出て来ないだろうと思ってすぐに新しいものを注文していたのだけども、あまりに毎日触っていたせいですっかり柔らかくなっていることに、パキパキ音が鳴る新品と比較して始めて気がついて、びっくりした。新しい方は光に当てておくと、暗闇で光る素材で、夜、寝入り際にベッドの隅にスマートホンを置いておくのにちょうどよい。夜寝入るのと違っていつの間にか入眠して、ドア越しに母親に夕飯に呼ばれて目が覚めた。起きて頭痛がして、単に寝過ぎたせいだと普通に考えたけども、ドア越しに声をかけられてすぐに目が覚めるあたり、眠っていてもおそらくどこか意識が持続しているというか、起きてから寝ている間中、窓の外のざわめきをずっと意識していたことに気がついた。寝起きで体が温い状態で、本当だったら、この状態から1時間経ってからが、食事を食べた側から吸収出来る状態になるのだけども、母に呼ばれているのですぐ居間に行く。おそらくリビングにいる人間で、体が布団の中で温まっている状態なのは私だけだろう。母の作る食事は、夕食としてあるべきだけの数のおかずと主食があって、様々な彩りの食事が目に入ると体力を奪われてしまうので、見るより先に、ろくに両親とあまり会話もせず食べてしまう。春が過ぎたら、居間で家族と食事をしていても自分の部屋にいる気分が、少し抜けていくだろう。

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31歳、実家暮らしアルバイト生活の、一人っ子のノンセクシャル女性😼😽 日記、エッセイ、時折評論です。 ひたすらこつこつ書き続けていくのでよろしくお願いします。