部首の神秘

「刃」という漢字の部首って、何だと思いますか？

たったの３画。このうちのどこが部首でしょう。

こういう簡単な漢字の部首って、侮れないところがあります。

「円」の部首は「冂どうがまえ」ですし、

「何」の部首は「亻にんべん」です。

そこなんだ、と　ちょっと意外に思います。

そして、「音」の部首は、「立たつ」でも「日にち」でもなく「音おと」です。

そのままって、アリなんですね。

「見」や「車」も、そのまま「見みる」「車くるま」が部首だそうです。
どちらも、分解できそうですけどね…。そういうハナシじゃないのでしょう。

そうかと思えば、「九」の部首はなんと「乙おつ」です。

形ちがうじゃん！

歪んでしまっています。

けれどそういう漢字は意外とあるようで、

羞恥の「羞」には「羊ひつじ」、

自粛の「粛」には「聿ふでづくり」が、それぞれ部首となっています。

「聿ふでづくり」の「粛」に至っては、横画、足りなくない？

さらには、「丼」の部首。まさかの「ヽてん」です。てんって。

※「丼」の部首を「二に」とする辞書もあります。

と、部首を定めたどなたかさんへのつっこみ（あるいは質問疑問）は尽きないのですが、

はなしはもどって「刃」の部首です。

こちら、「刀かたな」なのだそうです。

捻りも衒てらいもないのです。

この混沌とした部首の世界にあって、「刃」の部首が「刀」であることの、なんと美しいことか！

ご参考に申しますと、

そもそも「刀」は象形文字で、姿形をそのまま文字にしたタイプの漢字だそうです。

その刃にあたる部分にヽてんを打つことで、「刃」は刃の意味を示しているのです。

部首の世界。きっと、どこまでも深く、潜もぐっていけます。

参考文献
・漢字練習字典（新学社）
・新漢語林　第二版（大修館書店）