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唯一無二のおもてなしを実現するために〜「旅館花屋」編 あめつちメルマガ【vol.10】

こんにちは。

本日は、信州・上田別所温泉の「旅館花屋」さんについてご紹介したいと思います。

花屋さんといえば、数々のメディアで取り上げられている他、撮影の舞台としても使われている、知る人ぞ知る老舗旅館。

社内ではいつも全国各地のお宿情報が飛び交っていますが、その中で花屋さんは、

『唯一無二とも言える独自の世界観を明確に定義し、それを館内のすべてのサービス(提供価値)に徹底して反映し、お客様にその世界観を感じてもらえる顧客体験を設計、提供している宿』

として皆が注目し、話題に上がることの多いお宿です^^
 
そんな、唯一無二の顧客体験を実現されている花屋さんが、高い顧客満足度を獲得している理由をじかに体験してみたいと思い、滞在してみることにしました。
 
今回は、滞在期間中に私が感じた体験を、顧客体験設計の視点からお届けしたいと思います。

なお、これまでシリーズ5回にわたってお届けしてきた内容もご参考にしていただけると思いますので、ぜひトップページから過去記事をご覧いただけたらと思います。

ぜひ最後までお付き合いください。

―――ー

本題に入る前に、少しだけ花屋さんのご紹介をさせていただきます。

花屋さんは信州・上田の別所温泉にある、創業108年の登録有形文化財の老舗宿。

事前にHPで情報はチェックしていましたが、やはり本物を目の前にすると、感覚が大いに刺激され、見える世界が変わるのでしょうね。

長い歴史が織りなす堂々とした風格に、圧倒されてしまった私です…!

ご参考までに、公式HPから抜粋した一文を。

大正六年創業。
かつて別所温泉の宮大工が手がけた、技と心意気が息づく、百年の歴史。
 
伝統と風格を受け継いだ日本建築の瀟洒な洋の情緒の融合。
 
6,500坪の敷地を彩る四季の織りなす日本美と大正浪漫薫る非日常を謳歌する。

「旅館花屋」公式HPより

歴史の重みと伝統を大切に継承されている姿勢が、この一文に凝縮されているようです。

ではここからは、実際に私が花屋さんで味わった感動体験を5つのステージに分け、顧客体験のフォーマットに落とし込んだ内容をご覧いただきたいと思います。

※これまで配信してきたメルマガでは、カスタマージャーニーマップを作成する際に必要となる考え方や方法論をお伝えしているので、詳細はnote記事をご覧ください。

滞在中は「ここだけでしかできない特別な体験」、「その宿にしかない特徴」といったところに注目しながらまとめてみましたので、ぜひその視点からご注目いただけたら嬉しいです。

それでは早速まいりましょう。

■来館前
【注目ポイント】

・知人から聞いた「大正ロマン」の世界観が、H Pでも表現されていた
・電話応対の真摯であたたかい姿勢に、安堵感を覚えた。

もともと、花屋さんに行ってみようと思ったのは、旅好きの友人からの激推しの一言がきっかけ。

まず来館前のステージでは、知人がとくにおすすめしていた「大正ロマン」の世界観とはどんなものだろう?と、ワクワクしている自分がいました。

大正ロマンといえば、和洋折衷、ハイカラさん、レトロでおしゃれな雰囲気etc…頭の中には様々なイメージが浮かんでいましたが、具体的なイメージを確かめたくて、早速HPをチェックしました。

そこで目にしたのは、創業108年の登録有形文化財の歴史ある宿の価値が伝わってくるような、クラシカルな雰囲気の写真の数々です。

歴史ある建築デザインだけでなく美しい調度品も含めて、館内を彩る全てが、大正ロマンの世界観を織りなす要素なのだろう、と感じました。

おすすめしてくれた知人の言葉と、具体的なイメージが一本の線で繋がった瞬間です!

またこの時、HPが顧客体験において重要な役割を果たしていることを再認識しました。

多くの人は旅行前に宿のHPをチェックし、新しい世界観に魅せられ、徐々に期待感を高めていくものだと思うからです。

***

もう一つは、お電話した時のスタッフの対応が印象的でした。

その時にお電話で応対してくださった女性スタッフの方の、声色から滲み出る真摯な姿勢に、あたたかさとこの上ない安堵感を覚えたからです。

このお電話でのやりとりも大きな決め手となり、その後、即決。予約まで一気に進めました。

■来館
【注目ポイント】
・早々に、一気に「大正ロマン」の世界に惹き込まれる仕掛けが満載

来館のステージでは、到着早々「一気に大正ロマンの世界に惹き込まれる」という、特別な体験が待っています。

アンティーク調の椅子やテーブル、レトロな趣のランプ、クラシカルな置き時計など、HPでも紹介されていた美しい調度品が、出迎えてくれるからです。

門をくぐった瞬間、時間軸が現在から過去へと巻き戻され、一気に大正の世界に誘われるあの感覚は、おそらく他では味わえない感動体験だと思います。

さらに、スタッフの皆さんのゆったりした口調や和やかな雰囲気も心地よく、大きな安心感に包まれました。

おそらく花屋さんは、お客様の到着時から元々の期待感をさらに上回る世界観を表現するということを、徹底して意識されているのではないでしょうか。

長い時が刻まれた歴史ある大正建築の趣はもちろん、玄関口を彩る調度品、さらにスタッフの心地よい接客の一つ一つが大正ロマンを織りなす要素であり、「インタフェース」でもあるのでしょう。

それらの要素が一つの空間の中で渾然一体となり調和しているからこそ、独自の世界観が出来上がるのだと感じました。

■回遊
【注目ポイント】
・普段目にすることができない、稀少な大正建築を目の当たりにできる
・館内の至るところに、「花」が飾られていること

館内を回遊する中で、「これも大正ロマンの世界を織りなす要素」であると感じたのが、上記の2つのポイントです。

まず一つ目は、稀少な大正建築の匠の技を目の当たりにできる、ということです。

館内には、棟と棟を結ぶ渡り廊下があるのですが、こちらでは釘を使用しない組み木の技が使われているのだそう。組み木といえば、古い神社仏閣建築に見られる宮大工の匠の技ですが、普段は殆ど目にすることができません。

だからこそ、稀少価値の高い技法を一つでも多く目にしたくて、館内の細部に目を凝らして観察しました。その途中で、カタツムリや竹など、自然のモチーフを掘り込んだユニークな柱にも出会えました。

もう一つ印象的だったのは、館内の至るところに季節のお花が飾られていたことです。

玄関口にはじまり、廊下の途中、温泉前、休憩スペースと、目線の先には絶妙なタイミングで、さりげなくお花が活けられているのです。

花屋さんの「花屋」たるゆえんを、垣間見たような気がします。

きっと、この特別な舞台で「四季折々の風景をお客様に届ける」ことも、顧客体験の一つだと考えていらっしゃるのでしょう。

訪れる度に異なる自然風景を愛でることができるのも、花屋さんならではの魅力だと思います。

■朝食
【注目ポイント】

・女性スタッフの衣装が、洋装に変身
 
朝食会場は前日の夕食会場と同じ食堂でしたが、ここで驚いたのは、女性スタッフの衣装が変わっていたことでした。

前の晩の夕食時の和装から一変して、大正ロマンの雰囲気の洋装に変化していたのです。

「ここまで徹底して、世界観をつくり上げるところがすごい!」と、朝からまた感動してしまった私です^^

最長19時間の滞在時間の中で、同じ空間内での出来事をいかに新鮮に届けられるか?を、時系列ごとに考え尽くされているからこその、サービスなのかもしれません。

■チェックアウト
【注目ポイント】

・チェックアウト前に旅の余韻に浸る
 
チェックアウト前は、「1泊2日でこれほどゆったりと宿の世界観に浸れる体験はこれまでなかった」と、一つ一つの体験を思い起こしながら、余韻に浸る時間となりました。

朝の清々しい空気の中、館内を再び回遊し、昨晩とはまた違った味わい深い景色に出会うこともできました。

最後に、滞在期間中を振り返ってみて感じたこと。

大正建築という素晴らしい舞台がある花屋さんは、歩を進めるごとに景色の印象が変わっていくのも魅力です。全てが「絵になる」のも、ここに滞在する極上の体験だと感じました。

―――

いかがでしたでしょうか。
今回は私の花屋さんでの体験を顧客体験設計に落とし込んでお伝えしてみましたが、こちらの情報が貴宿の顧客体験設計に少しでもお役立ていただけるようでしたら嬉しく思います^^

改めて感じたことは、宿泊施設が唯一無二のおもてなしを実現するためには、
 
・徹底した顧客理解
・価値の明確化
・設計
 
のステップを順に進めていくことが大事だということです。
 
とくに花屋さんでは、2つ目の価値の明確化のところで、
 
創業時から続く経営理念やVMG(ビジョン/ミッション/ゴール)やコンセプトにしっかり立ち返った上で、顧客体験を設計されているということを実感しました。
 
それが一つ一つのインタフェースを介してサービスが提供されているため、お客様はそこに「花屋らしさ」と唯一無二の価値を感じるのだと思います。
 
顧客体験を設計していくステップは、これまでシリーズでお伝えしてきましたので、ぜひこの機会に改めて振り返っていただけると嬉しく思います!


最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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