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自己実現と自己超越

 還暦を過ぎてから、なんとなく心の中に靄がかかったような感覚を覚えていました。それが例の疫病騒動のせいなのかどうかは解りませんが、還暦という、ある意味人生の折り返しポイントを、未曾有の災厄であやふやな空白の中に押し込まれてしまった身としては、なんとも自己確立の機会を奪われたようで、還暦の一年をいかに過ごそうかというぼんやりした計画が、虚ろになってしまったのです。
 しかし、この未曾有の災厄の中にこそ、還暦以降の人生をどう生きるか、という命題に対する答えが隠されていたのです。
 それは、人生を十干と十二支を掛け合わせて120年与えられた生涯時間としてみたときに、自己実現段階と自己超越段階に分けること、つまり、人生とは自分のための期間と自分以外の(自分も含む)のための期間に分けることができるということなのです。

 自己実現とは、自分が持っているリソースを自分のために使うこと。その結果として、ある段階のステータスに到達することであると私は考えました。それは、「願い」→「情報収集」→「行動」→「達成」というプロセスを経ます。これを小さな事から大きな事まで繰り返して、その人なりの最大限の自己実現を果たして、もう自分に個人としての欲求はない、という境地に達します。しかし、誰がいつどうなるかは一定ではないから、誰もがその過程で苦しむのでしょう。

 一方、自己実現を果たした人の多くは、自分を越えて、自分以外のことに目が向くようになります。身内や友達、知り合いや、何かで知った他人の幸せを願い、自分にできる事をするようになるのではないでしょうか。
 仏教では、仏さま(故人)のために時間やお金を遣うこてを功徳と呼ぶそうですが、ご縁に報いる行為と考えれば似ていますね。
 「衣食足りて礼節を知る」などとも言われる通りです。
 私の周りでは、「コロナのお陰で・・・」と、見事に災いを福に変えた方が多いのですが、これもある種の自己超越と言えるかもしれません。

 もちろん、自己実現の過程で大いに人を幸せにする方もいますね。

 還暦についての私のもやもやは、こんな風に考えることで、晴れてきました。そして、今できる事をしっかりやろうと決意しました。これもコロナのお陰かも知れませんね。
 

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