ビギナー経営:小さい会社の会計(4)
あめにきのオフィスのnoteでは、スタッフが仕事をしてきたうえで気がついたことを、書いていきます。
12月は、月曜日に書いていきます。
前回に引き続き、小さい会社の会計。
決算書は、会社の実態を示してくれるものであり、そして会社が向かうべき方向を示してくれるもの、のはずです。
しかし現実には、そうなっていません。
その理由の一つに、会社側の事情があります。
国税庁が公表している「令和2年度分会社標本調査」結果によると、全法人に占める欠損法人の割合は62.3%です。これは、会社のうちの62.3%が、赤字を出している会社である、という意味です。
しかしこれは、ある意味で、当たり前の結果でもあります。会社は黒字を出すと、法人税を払わなければいけません。それを避けるために、経費を多く計上して、赤字の決算を出します。
そこで計上される経費といえば、まずは、役員報酬です。役員報酬が高額になると今度は所得税が高額になってしまうため、こんどは経営者の家族も役員にして、役員報酬を分散させたりします。
これ自体は、必ずしも悪いことではありません。
今度会社の売上が悪化したときには、役員報酬を返上して会社の大赤字を防ぎ、それでも埋められないときは逆に、経営者の資産を貸付金の形で会社につぎ込んだりします。
つまり、会社と経営者の間で、利益と経費を行ったり来たりさせて、課税の負担を減らすわけです。
ルールの範囲内で納税額をできるだけ減らそうとするのは、経理手法の一つとして認められています。しかしここでは、別の問題が発生しています。
それは、決算書の継続性が損なわれることです。
毎年同じ基準で会計を行うからこそ、会社の状況を測れるのです。それを、今年は社長のお金とみなす、来年は会社のお金とみなす、なんてやっていると、決算書が会社の実態を示してくれなくなってしまいます。
一方で、一定額の黒字が必要だ、という会社もあります。
出資や融資を受けている会社や、取引・受注の関係で赤字を計上できない会社は、一定額の黒字を作ります。
この場合は、売上を多く計上したり、役員報酬を下げたりすることになります。
いずれにせよ、決算書は、目的をもって作られます。
それは、株主への説明のためだったり、税額の決定のためだったり、あるいは金融機関への報告のためだったりします。
経営者は当然、ルールの範囲内で、都合の良い数字を計上します。
問題なのは、その決算書を目的外の方法で使うことです。つまり、経営分析・方針決定のために使うことです。
作られた決算書については、目的に合わせて修正することが大切になります。
次回に続きます。
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