信じる者は救われる?

ゲーム理論に「囚人のジレンマ」という例がある。
二人が個別に詰問され、「二人ともが協力」は両者とも良い結果、片方だけ「協力しない」であれば協力しない方は利益を得られ「協力」は不利益となり、両者とも「協力しない」は両者とも不利益になる。
世界中で様々なアルゴリズムが開発され実験されているが、必勝法はシンプルに「しっぺ返し」だと言う。基本は「協力」を選ぶが相手が「協力しない」を選択した次の回は「協力しない」で制裁を加えるというもの。

大学時代、(しっぺ返しもせず)常に「協力」し続けることで勝つことが出来ないか?を研究していた友人がいた。当時は「気持ちは分かるが難しいのでは?」と思っていたが、今は「ビジネスの世界で協力し続けることで勝つ」ことを目指したいと強く思うようになっている。

ビジネスの世界でも「疑う」ことを前提としていることによるムダがたくさんある。部下が仕事をしているか?見張るために勤怠や日報を報告させる、相手の言いたいことが何か?確かめるためにたくさん資料を作らせる、発言の意図通りに記載されているか?議事録をチェックする、外部発注業者がちゃんとやるか見張るためにベンダー管理を緻密に行う、などなど。相手を信じられていたらこのような監視的な仕事は要らないはずだが、相手を疑うが故にもしくは当り前の仕事と思いこんでしまっていることが多い。

では、ただ信じれば良いのか、と言えばそう簡単ではない。
”LIAR GAME” というマンガに「信じるために疑う」というフレーズがあったが、これが理想だと思う。
まず信じるために相手の思考を深く洞察し理解し、その上で「信じている」ことを明示し、お互いにとって利益になる状態になるよう協同する。

「そうは言っても実行するのは難しい」という反応が多い気もするが、それほど難しいことだろうか?すぐに100%の相手を信じるのは難しくとも、「この人は信じる」「部下は無条件に信じてみよう」「自社の人は信じよう」など、信じる気持ちと少しの勇気があれば出来ることではないかと思う。
「信じる」を正しく行える人が増えると、ビジネスでも多くのムダが省かれ生産性も高まり、もっと言うと戦争や核武装みたいなこともなくなると思っている。

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