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第三十四夜 『シャッターアイランド』

怒涛のような日曜日。
それは私の33回目の誕生日の翌日のことであった。

その日は経営者としてどうなのかは置くとして、営業職の責務という意味ではかなり高いレベルで会社の要求に応えられたであろう。4件の契約を取り、残務処理も終わり帰路に着く少し喉が疲れたようで、咳払いをする。朝から晩まで商談を終えた私はちょっとした爽快感と達成感を得ていた。

共同経営者の彼にも報告をしたところ。いつもよりかなり反応が薄い。大方、もうすでにどこかで飲んでおり、酔っ払っているのであろう。時間を確認する。今から帰れば娘の寝る前に間に合うと気づき、早足になる。最寄りのスーパーで自分へのご褒美にと炭酸飲料を購入すし、帰宅。

娘は晩御飯を食べ終え、お風呂からも上がっていた。残念なことに父親としての仕事はもうほとんど残っていないようだった。

「お疲れ様。お風呂入ってくれば。」

妻に促されるままに脱衣所へ向かう。9月とはいえ残暑が厳しく、汗に濡れたTシャツを着ていること自体が非常に不快だった。ここから解放されると思うと実にいい気分である。

シャワーを浴び始め、関節に違和感を覚える。なんというか重いのである。確かにその日、私はお昼にジムに行ったもののトレーニングというよりは軽く汗を流してシャワーを浴びる程度だったのでなんの違和感か理解はできなかった。

そして、その違和感を理解したのは浴室を出て、子供の寝かしつけに向かう途中の廊下であった。寒気がする。関節が痛み始めた。これはきっと熱がある。今日一日かなりのスケジュールをこなしていたが気が付かなかった。計ってみると38度もあるではないか。

なぜ気が付かなかったのか。いや、体の不調は若干ではあったが感じていたが、寝不足だから程度に捉えていた。人はときに何かに熱中していると体調不良すら忘れてしまうようである。病は気からということなのであろう。

翌日、病院に検査へ向かう。尚も38度の熱が下がらない。コロナやインフルの検査も行ったが反応話、一応で行った別の検査で引っかかる。おそらく、子供からもらったのであろう。

体調不良を察知できないほど集中ができた週末、多くの結果は出したものの、翌日から丸三日は仕事が手につかなかった。
貯めていたストックは全て吐き出した。なかなか仕事も貯金ができないものである。さて、今年も後3ヶ月ほど、どれだけ仕事に熱中できるか、身体を労わりながら全力投球しようではないか。

健康を犠牲にしてまで働くことがリスクであることなんて、20代で予習済みだ。

物語の続きはまた次の夜に…良い夢を

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