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いよいよ、FRBによる金利の引き下げか?

2024年は、FRBによる政策金利(FFレート)の引下げがいつ行われ、何回あるのかという話題から幕開けしました。米国マーケットもそれを催促するように、上昇。

ただ、なかなかインフレからの脱却を確認できる、経済指標があらわれず、利下げのタイミングもずれ、回数予想も減ってきたのが、6月くらいまでの動きです。

それでも、米国株式市場は堅調で、7月に主要株価指数が過去最高値を記録し、8月のスピード調整を終えて、次の大きな材料を待っている段階までなんとか、こぎつけました。そして、いよいよ、マーケットが期待する「利下げ」が行われる、環境が整いました。


パウエル議長「政策を調整する時期が来ている」

8月23日のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長は講演で、

9月17-18日のFOMCで利下げを実施する可能性を強く示唆しました。インフレとの闘いが終わり、雇用の保全を最優先課題とする方針転換を実質的に宣言。

議長は「政策調整の時期が来た」と述べ、11月5日の大統領選の数週間前でも利下げを辞さない姿勢を明確にしました。失業率が過去1年で3.4%から4.3%に上昇しており、これ以上の雇用悪化は望ましくないとの認識を示し、

また、「労働市場環境がこれ以上冷えることを、求めても歓迎してもいない」と発言。インフレ抑制のために許容できる雇用減は「ゼロ」だと初めて明言しました。

PCEデフレーターは6月2.5%、FRBが重視するコアPCEデフレーターは、6月2.6%と、目標の2%を上回っていますが、低下傾向が確認されています。パウエル氏は「強い労働市場を支えるために手を尽くす」と述べ、雇用重視の姿勢を鮮明にしました。

インフレが落ち着き、次の段階として、雇用面の数字から、景気減速、後退に陥らないように、金利の引き下げにより、米国経済をバックアップをするように舵をとったと言えます。

FOMCとは

FOMCは連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee)の略称で、米国の金融政策を決定する最高意思決定機関です。

FRB(連邦準備制度理事会)が主催し、年8回の定例会合と必要に応じた臨時会合を開催します。主な決定事項は以下の2点です:

  1. 政策金利(FFレート)の誘導目標設定

  2. 資産購入などの量的緩和政策の決定

FOMCは7名のFRB理事と5名の地区連銀総裁で構成され、議長はFRB議長が務めます。会合後には声明文が公表され、四半期ごとに経済見通しも発表されます。これらはグローバルな金融市場に大きな影響を与えるため、投資家や市場関係者から注目されています。

FOMCの決定は、インフレ率や雇用状況などの経済指標を考慮して行われ、米国経済の安定と成長を目指しています。

これまでのFRB、FOMCは・・・

FRB(=米国の中央銀行の役目を果たします。)は、新型コロナウイルスのパンデミックが始まった2020年3月に政策金利を0〜0.25%まで引き下げます。パンデミックで、経済が大幅に落ち込むのを防ぐ狙いがありましたが、その反動として急激なインフレに直面します。今度は、

急激なインフレを抑えるために2022年3月から利上げサイクルを開始。それでもインフレ率は数ヶ月後に前年同月比9%でピークに達します。結局、FRBは11回の利上げを実施し、政策金利(FF金利)の誘導目標を5.25%〜5.5%に引き上げた後、2023年7月以降はその水準を維持しています。(FOMCの会合は実に、8会合連続で政策金利を据え置き。)<表1>

<表1>

急激なインフレに、スピーディーな利上げで対応した効果は、下記の<表2>のようにあらわれました。そして上記の、FRBの利下げをサポートする、強力なデータとなりました。

<表2 単位%>

「CPIはいずれ、PCEコアデフレーターに落ち着く」

  1. PCE(個人消費支出)コアデフレーターはCPI(消費者物価指数)よりも包括的で、消費者の行動変化をより正確に反映するとされています。

  2. PCEコアデフレーターは、CPIよりも上方バイアスが小さい。

  3. FRBは、インフレ指標としてPCEコアデフレーターを重視。

  4. CPIは、長期的にはPCEコアデフレーターに近づく傾向がある。

FRBは、このPCEコアデフレーターが2%に近づくように、金融政策を行います。2%が経済にとって、居心地の良い状態である証明でもあります。

そもそもインフレって?

インフレとは、世の中の物やサービスの値段が全体的に上がり続けること。例えば、いつも買っているお米やパンの価格が少しずつ高くなったり、美容院や電車賃が上がったりする現象です。

インフレが起こると、同じお金で買えるものが減ってしまうので、生活費が増えてしまいます。特に、給料が上がらないのに物価だけが上昇すると、家計の負担が大きくなります。

ただし、緩やかなインフレは経済にとって良い面もあります。企業の売上が増えて給料が上がったり、借金の実質的な負担が減ったりするからです。

一方で、急激なインフレは経済に悪影響を与えます。お金の価値が急落して、貯金が目減りしたり、物不足が起きたりする可能性があるからです。

そのため、各国政府や中央銀行はインフレを適度な水準に保つよう努めています。

米国が急激なインフレになった理由は?

  1. パンデミック対応の金融緩和政策:
    FRBは2020年3月に政策金利を0〜0.25%まで引き下げ、大規模な量的緩和政策を実施しました。これにより市場に大量の資金が供給され、インフレ圧力が高まりました。

  2. 財政刺激策:
    政府は大規模な財政出動を行い、個人や企業に対して直接的な金銭給付を行いました。これにより消費需要が急激に増加しました。

  3. サプライチェーンの混乱:
    パンデミックによる世界的なサプライチェーンの混乱が、供給制約を引き起こし、物価上昇圧力となりました。

  4. 労働市場のひっ迫:
    経済活動再開に伴う労働需要の急増と、パンデミックの影響による労働供給の制約が賃金上昇圧力を生み出しました。

  5. エネルギー価格の高騰:
    2022年のロシアによるウクライナ侵攻などの地政学的要因により、エネルギー価格が急騰し、全体的な物価上昇を加速させました。

これらの要因が複合的に作用し、需要の急増と供給の制約が重なったことで、米国のインフレ率は2022年(6月)に40年ぶりの高水準に達することになりました。

年内のFOMCは、3回

  • 9/17-18

  • 11/6-7

  • 12/17-18

まとめ

現在の米国大統領選挙の争点にもなりそうな、インフレへの対応と景気への配慮。米国に限らず、日本を含む世界の中央銀行は、常にインフレとの戦いにエネルギーを費やしています。パンデミックへの緊急対策の反動を抑えるために、始まった米国FRBの金融政策は、インフレ対応の、成功例として記録されるかどうかは、我々が日々見ている、今後のマーケットが判断することになります。

11月の米大統領選挙関連のnoteはこちら↓



*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。





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