『もしハリ』と米国株式市場:11月の大統領選挙の勝者はどっち?
バイデン大統領が、7月21日に、11月の大統領選挙からの撤退を表明し、民主党の大統領候補が、ハリス副大統領にかわりました。メディア等の援護?もあり民主党大会が閉幕後(8/22)もハリス氏支持率は上昇基調です。最後の最後まで、どうなるかわからないのが米国大統領選挙ですが、バイデン大統領を前提で「ほぼトラ」をnoteに書いていますので、今回は「もしハリ」で簡単にまとめてみました。
基本的には現状維持の政策?
もしハリス大統領になったら、現職の副大統領が、そのまま大統領に就くことになります。よって政策運営も現状維持的になるというのが大方の見方です。
経済政策
カマラ・ハリス氏は、8月16日にノースカロライナ州で経済政策を発表。彼女の政策は「機会の経済」と称し、物価の安定と中間層支援を主な目標としています。
バイデン大統領が物価高騰の責任を問われている中、ハリス氏は物価問題に対して企業の不当な値上げを規制し、従わない場合には罰則を設ける方針。
共和党のトランプ氏の追加関税政策とは対照的であり、企業に対する厳しい姿勢を示しています。中間層支援としては、児童税額控除の拡大や食料品値上げに対する取り締まり強化を掲げています。これらの政策は、選挙戦略として中間層の支持を広げる狙いがあるとされています。
具体的には、
価格安定策、住宅促進策児童、低所得層税控除、医療費支援の4つの分野が示されています。
財源は法人増税?
トランプ氏が2017年に大統領に就任したときには、最高35%の21%までに引き下げられた連邦法人税率ですが、民主党の綱領では引き上げ(21%→28%)に言及されています。
予想される株式市場への影響
ネガティブな見方(短期)
仮に、引き上げが実施されれば、企業の税引き後利益は、10%近くの減益要因になり、短期的には1株利益(EPS)の低下や、配当や自社株買いの株主還元原資が縮小すると警戒するアナリストもいます。
ポジティブな捉え方(長期)
反面、引き上げによる税収の増加は、米国の財政赤字の縮小に繋がり、債券市場では→米国債券が買われ、債券価格の上昇→金利低下というシナリオが長期的には、描けます。株式市場にとっても、ハイテク株、成長株等にポジティブに働きます。
住宅市場にフォローの風?
いくつかあるハリス氏、民主党の経済政策の中で、現実的なのは、
「長期間のインフレが続き、苦しむ家計が増加している」中、生活コストの引き下げに主眼を置いた点です。中でも、住宅コスト抑制対策は
今後4年間で300万個の新築住宅を建設、住宅価格の低下へ
はじめて住宅を購入する人100万人に対し、25,000ドルの頭金補助を実施。
という内容。ハリス大統領誕生ともなれば、今後の金利低下と相まって、住宅市場の回復が加速すること期待されます。住宅関連企業に注目する投資家が増えるかもしれません。
まとめ
繰り返しになりますが、このnoteを書いている時点でも、ハリス、トランプどちらが勝ってもおかしくない、接戦が予想されています。長期的には、どちらの党の政権でも、株式市場の動きに大きな違いはありません。(下記参照)
仮に、政策の運営の失敗などにより、短期的な株価の下落があったとしても、冷静に対応し、米国株式市場に向き合うことが、我々、投資家、株主には求められると思います。
最後に、米国二大政党の違いと各担当政権時のざっくりとしたマーケットの成績をnoteしておきます。参考にしてください。
共和党と民主党の基本理念のちがいは?
共和党:
「小さな政府」を志向し、市場原理を重視
減税や規制緩和を推進
伝統的価値観を重視
民主党:
「大きな政府」を志向し、政府の積極的役割を重視
社会福祉の充実を推進
リベラルな価値観を重視
主な政策の違い
経済政策:
共和党: 減税、規制緩和を重視
民主党: 中間層支援、富裕層への増税を主張
社会保障:
共和党: 民間主導を重視、政府の役割縮小を志向
民主党: 政府主導の社会保障制度拡充を主張
外交・安全保障:
共和党: 軍事力強化、自国第一主義的傾向
民主党: 国際協調路線、同盟国との連携重視
環境政策:
共和党: 規制緩和を重視、温暖化対策に消極的
民主党: 環境保護を重視、温暖化対策に積極的
支持基盤
共和党:
保守的な白人層
地方部や南部の有権者
敬虔なキリスト教徒
民主党:
リベラルな都市部住民
若年層、高学歴層
人種的マイノリティ
実際の政策運営では柔軟な対応も見られ、必ずしも明確に二分できるわけではありません、両党は多くの点で対照的な立場をとっているのがわかります。
米国株式市場のパフォーマンス(成績)はどちらが良いの?
--「ほぼトラ」noteより
共和党vs民主党
S&P500は共和党大統領時代には+10.2%、民主党大統領時代には+9.3%、年平均上昇率の中央値となっています。
トランプとバイデンとでは?
さらに、両氏とも大統領経験者ですので、それぞれの政権下の就任以来
S&P500のパフォーマンス(上昇率)は
トランプ+33.6%
バイデン+42.1%
期間はトランプ氏の2017年1月から2021年1月までの4年間に対し、バイデン大統領2021年1月から2024年7月までの約3年6ヶ月間です。両大統領時代の数字を比較する際には、以下の点に注意してください。
期間の違い:
バイデン政権の数字は約3年6ヶ月間のものですが、トランプ政権の数字は4年間の完全な任期を反映。経済状況の違い:
両政権は異なる経済環境に直面しており、特にトランプ政権末期には新型コロナウイルスパンデミックの影響がありました。その他の要因:
株式市場のパフォーマンスは大統領の政策だけでなく、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策、国際情勢、技術革新など、多くの要因に影響されます。
これらの数字は単純に比較できるものではなく、それぞれの政権が直面した固有の課題や状況を考慮に入れて解釈する必要があります。--
*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
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