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あめじろう
2017年9月29日 10:19
荒れ果てた草原が現れる。草木が生い茂り、折り重なり、歩けるような道など見当たらない。草木を掻き分け、掻き分け、進んでいくことにする。目的地などわからないし、進むべきなのかもわからないというのに。かすれた緑の香りが立ち込めたとき、右足首がちくりとする。見ると、棘だらけの茨が僕の足首にくるくると巻きついていた。それは、徐々にふくらはぎ、膝、太ももへと進んでくる。 思わず叫
2017年9月1日 22:12
蝉時雨が止むと、薄暮れの風が吹き、鈴の音を奏で始めた。 エノコログサの穂が、鈴虫の演奏を指揮する。穏やかな旋律がたゆたい、頭を優しく撫でてくれた。僕の体を覆う硬い外骨格に、薄紫色の夕陽が降り注ぐ。光は玉となり、ころころころと背中を滑ると、足元の影に飲み込まれていく。最近の雲の形はさらさらとしていて、夕陽が粉砂糖のように舞っている。 それは、僕の死期が近いということを意味