都会での遭難(あらすじ)

【ジャンル】ノンフィクション犯罪小説(2021年2月14日構想開始)
【元ねた】1、アルペン会長逮捕事件 2、自身のハッピーメールでの類似事件 3、自身の会社経営者であったときの留置所経験

【あらすじ】 元登山家で、現スポーツ用品メーカー「アルプス」の会長「日野修」が興味本位でやってみた出会い系サイト、ラッキーメール。そこで、虚言を弄する女の用意周到、準備万端な策略にまんまとはめられて、えん罪で逮捕される。

取り調べで初めて一部上場企業の会長であることを明かし、留置してしまった警察を慌てさせる。が、一番、当惑したのは女。小さい会社の部長だと思ってこの計画犯罪を実行していたから。

示談金目当ての女に怒りが募るも、留置所で孤独な彼。

意外にも身内は彼を非難するばかりで、虚言女に立ち向かおうとしない。会社も家族も「真実なんかどうでもいい」と言い、事態の鎮静化を図ろうとするばかり。会長の職も解かれる。

世間もすっかり女の味方。孤立無援と思ったとき、予想もしないところから味方だという者が現れる。留置所にいる元会長は、すべてに疑心暗鬼になり、この者も機に乗じる胡散臭い奴だと思って放置した。

自称味方は行動力があった。ゆっくりと確実に巻き返しが始まり、徐々に女を疑いだす警察とマスコミ。

急に警察とマスコミの目が冷ややかになったことに驚く女と背後の広域指定暴力団。この練りに練った計画犯罪が全国的に使えなくなってしまうことをおそれた暴力団は、女に示談金なしで被害届を取り下げるよう命令する。

突然、女は、「あいても社会的制裁を受けたので。お金はいりません。」と言って被害届を取り下げる。元会長は釈放される。

元会長の家族、会社はこれで幕引きにしたがる。元会長は真実を述べるための記者会見を開催するのと、引き続き事件の追及をしようとするが、反対され、名誉を回復できないままでいる。

二か月後、引退生活を送る元会長が朝のニュースを見て驚く。例の女とその背後の者が逮捕された、と。広域指定暴力団による計画的犯罪で、全国的に水面下で猛威を振るっていたことが書いてあった。

元会長は、ようやく思い出す。味方と自称していた人物がそんなことを言っていたこと。

さらに元会長は思った。「あれはとんでもない事件だったが、数年後に振り返れば引退するいい機会だったといえるかもしれないなあ。会長職つまんなかったしな。今後は、逮捕と留置で分かった、人々のそれぞれの思惑、というものを小説にでもするか。それから、あの女、あの人だって生い立ちがあってああなったのだろうな、かわいそうと言えば、かわいそうな奴だな。やりなおしがきかない社会が彼女を作ったのかもしれないなあ。」


創作動機:

自分の体験とアルペン会長の事件がうり二つなため。どんな事件で、その時、周囲はどう対応したか、を書こうと思った。自分のことを本気で考えてくれるのは、なんと自分だけだった、ということを基底に置く。

ジャンル:ノンフィクション犯罪小説

お断り:無断転載禁止。二次創作禁止。

著作権:雨独(ペンネーム)に帰属