読書記事「言語学バーリ・トゥード」

今回は私が最近読んだ本「言語学バーリ・トゥード」についてご紹介したいと思います。

書店で見つけた「何もわからない本」

待ち合わせまでの時間を潰すため、ふと入った書店で私はこの本に目を奪われました。
赤い装丁、描かれたロックな人物画、恐らく2つの単語で構成されているのに全く内容がわからないタイトル、そして”AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか”という一文。
気付いた時には、「paypayで。袋はいりません」と伝えた後でした。

言語学とバーリトゥード

果たして言語学とは!と意気込んでページを開くと、著者の諦めからスタート。「なんでもいいと言われたからプロレスの話をする」の宣言通り、著者が愛していやまないのであろうプロレスの話が始まります。(内容の半分くらいはプロレスメインではないでしょうか。私は内藤哲也が好きです。)
言語学と聞くと、第2言語の効果的な習得や”正しい日本語”のようなイメージが湧きますが、本書は身近にあることを言語学者がどのように考えているかという内容であり、特に日本語の仕組みについて面白おかしく考察しています。
ちなみ、バーリトゥードは格闘技における”なんでもあり”を表すのですが、この説明をされるのは37ぺージまで読み進めてからと、著者の茶目っ気を感じます。

自然言語処理と言語学

私たちAME&Company株式会社は主に自然言語を扱うソフトウェアを開発しています。AIに日本語を読ませてどんなことを言っているか判断させるため、日本語の苦しみを日々全身で浴びています。
そんな私の胸に刺さったのは14節「ことば地獄めぐり」。言葉の曖昧さには改めてはっとさせられました。
例えば、米は「洗う」のか「研ぐ」のか。私は白米愛好家であるため、常日頃から米を研いでいますが、玄米を食べる方は洗うだけで良いらしい。また、よくある話ですが、料理をしない人に「お米洗っといて」とお願いしたら洗剤を使って洗ったなんて言う話もあります。
人間同士でさえバックグラウンドによって捉え方が変わってしまう言葉を、再現性高くAIに学習してもらうのが、自然言語処理の楽しみと苦しみでしょう。

この本 は/が 面白い。

皆さんの楽しみを奪うことのないように浅く内容をさらってみましたが、如何でしょうか。表紙をみれば惹きこまれること間違いなしです。
言語学を「なんでもあり」の視点で教えてくれる本書、ぜひご一読ください。

(編集:鈴木)

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