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カフカ『審判』

読み終えました。時間がかかったぁ。

カフカの文体自体は退屈しないのですが、前半の主人公"K"の行動に多少苛立ってしまったため(これはかなり個人的な感想なのかも知れません笑)、読み進めるのに時間がかかりました。

ところが後半から、話が展開していき、読むスピードを取り戻し、不条理文学と言われるカフカ作品であるし、結末は知っていたのにも関わらず、どこか「答え」を求めながら進んでいきました。

そして終盤、結末の匂いが鼻をかすめる中、難解でありながらも心地良い思考の渦に引き込まれていく。
そして最後に、「文学」の美しさを情景に浮かべながら、カフカ独特の後味を残して終わっていく。

またもや読後、打ちひしがれていました。

というのも、分かってはいたものの、あまりに美しく無惨に遂げる結末がショックだったから。

ただ、カフカの絶望感には畏れながらも共感する部分があるからか、不条理への苛立ちや忌々しさを爆発させることなく、恐らく抗うことすら忘れ、やはり受け入れてしまう。

でもその中でもやはり、「答え」を求めてしまう。そしてそれが、絶望の中でも前に進む動力になるのだと、悲しくも再認識しました。
たとえ答なんて無くても、それを求めることが馬鹿馬鹿しくても、そうしてしまうのが私なのだと。

とは言え、それが救いに繋がるのかは、誰にも分からないし、逆に不条理を受け入れることで、水流に抗う辛さから解放されるのかも知れない。

けれど現実世界で生きていくには、そのどちらでもない道を開くという希望があるし、それを持つ権利くらい与えてほしい。私は今それを模索しているところです。

カフカの作品は、(と言ってもまだ『変身』と『審判』しか読んでないので、現時点での感想ですが…)世の中の歪みや闇、不条理という真理を浮かび上がらせている、とも思うし、そこから「世の中を違う角度から見る視界」が得られるとも思うのですが、私にとっては、
まわりと自分の人生との水質の違いに疲れた私を、どこか覚えのある水温と水流で心地良く流れさせてくれる、そんな作品です。

読むのに苦労してた時は、早く読み終われー!って思ってたりしましたが笑、読み終えたら寂しくなりました。

次は『城』かなぁ。
自信が無いので、保留にします笑。



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