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【小説】青の音 あとがき

みなさんお久しぶりです。雨宮そらです。
まず初めに
小説『青の音』をお読みになってくださった皆様
本当にありがとうございます。
思っていた以上にたくさんの方に
読んでいただけて
恥ずかしいようなでもすごく嬉しい…
そんな気分です

今日は『青の音』のあとがきを書いてみようと思います

『青の音』を書き始めたのは
大学2年のときでした
当時取っていた授業の課題が
なんと自作小説を書くというものだったからです…!
とはいえ創作は昔からよくやっていたので
今回課題という形で取り組む機会ができたなら
頑張って少し長い小説を書いてみよう!と思い
書き始めたのがきっかけでした

課題として提出するまでには3ヶ月をかけました
しかし提出したあともなかなか満足できず
ずるずると書いては消し書いては消し…を繰り返し
主人公の律とたくさん話し合い…
ようやく自分の中で完成だと思えたのが
去年の今頃でした

それから1年近く
全く読み返すことはありませんでした
それは私の中で片付いた過去になったからです
しかし今回ふとnoteに投稿してみようと思ったことで
もう一回(嫌でも!)読み返す機会ができました
読み返して思ったことは
「ああ苦しかったね!!わたし〜!!!」
という過去の自分へのねぎらいでした笑

『青の音』の前の投稿で
この作品に込めた思いを少しだけ書かせてもらいましたが
改めて書くと
この作品はとある人への追悼の意を込めています
その人とは当時高校生だった少年で
自ら命を経ってしまった人です
私は会ったことがありませんでしたが
当時働いていた職場の
尊敬している上司の教え子でした
上司のデスクには
彼の素敵な笑顔の写真が置かれました

上司のデスクの前を通る度に
笑顔の彼と目が合いました
私は何度も彼の笑顔を見て
どうして誰も救うことができなかったんだろうと
強い憤りと虚しさを感じていました

そして私はいつからか
彼に目で語りかけるようになりました
「今日はいい天気だね」
「そちらはどう?」「幸せに暮らしてる?」と
彼から返事をもらえることはもちろんなく
それが亡くなったということなのだと
当時19だった私に重くのしかかりました

小説を書こうとなったとき
まず初めに浮かんだのは
あの少年に向けて書きたい
という気持ちでした
理屈はないけれど
とにかくあの少年に読んでほしい
あの少年に私の言葉を伝えたい
というのが当時の気持ちでした

小説を書いているとき
彼は私のすぐそばにいたように感じました
彼に何があったかなどもちろん知りませんが
生きているのが苦しくなったことは
何度も何度も経験しているので
その苦しみに寄り添うように書いていきました
するといつからか自分自身も救われるようになりました

『青の音』は彼のための小説として書き始めたのに
いつからか私自身のためにもなっていました
行き場のない彼への悲しみを
言葉にして書き出すことで
私の中にある葛藤を吐き出すことができたのだと思います

今回読み返してみて
文章表現がまだ幼くて拙い文章なのは
すごくすごく恥ずかしかったですが
当時の私の葛藤がものすごく伝わってきました
その意味で冒頭にも書いたように
「ああ苦しかったね!!」と
過去の私に言ってあげたくなりました

律に礒谷がいたように
百音に律がいたように
律に百音がいたように

彼には私がいてあげたかった

それは彼の写真にいつも語りかけていた当時から今も
ずっと変わらない気持ちです
そして絶対に叶うことはありません

でもいつか彼に会えると信じているのです
そしたらこの小説を渡して
彼に「ありがとう」と言いたいです
(その前に自己紹介が必要ですが…)

生きていることはいつだって
生きていないことと表裏一体です
それでも生きることを選択しなければいけない
だから私たちは生きているのだと思います

私は常に
「生きている」という実感より
「生かされている」という実感の方が
しっくりくるのです
もちろんこれは人それぞれだと思います

私はまだ今日も生かされています
その任期がいつまでなのか
それは誰にもわかりません
私は生かされている限り
彼のことを忘れることはありません
そして今周りにいる大事な人と
これから出会うであろう大事な人を
いつだって命をかけて守りたいです
そしてこうやって執筆活動を続けて
より多くの人の心を、命を、
守りたいのです
それがなによりの私の生きがいなのです

『青の音』は荒削りではありますが
もうあのような作品を書くことはできないと思います
当時の私だからこそ書けた作品です

雨宮はこれからも言葉を綴っていきます
共鳴できる人がひとりでもいる限り…

やはり思い入れのある作品なので
案の定語りすぎてしまいました!!
最後にお読みいただいたたくさんの方々
本当にありがとうございました
まだお読みになっていない方は
気になるな…とおもったら
ぜひお読みいただけると嬉しいです

それでは
またお会いしましょう

雨宮そら

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