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【東京】小笠原にクジラを見に行く旅⑤

2023年2月に小笠原・父島へ行った時の記録。
旅行5日目は、自転車で半日島内を観光し、おがさわら丸に乗船して父島を出港した。

起床してすぐに荷造りを始めた。
勝手が分かってきた宿とも今日でお別れである。

ラストの朝食。魚が美味しかった。

特にちゃんとは予定を立てていなかったが、天気が耐えていそうだったので小笠原観光さんで電動アシスト付き自転車をレンタルすることにした。
自転車に乗るのは5年ぶりぐらいだったので、乗り始めの動作がかなり覚束なかったが、漕ぎ始めるとどうにかなった。
ヨロヨロしながら出発していったので、ショップの方は不安になったことだろうと思う。

坂道を電気のパワーでガシガシ登って長崎展望台へ向かった。出発した時は曇っていたはずだが、途中で青空が見え始めたのでテンションが上がってくる。
展望台からは冬らしからぬ爽快な景色を拝むことができた。

少し登ると、二見湾を見渡せるスポットがあった。
朝9時頃。私一人しか来ていなかった。

長い長い下り坂をゆっくりゆっくり下って戻っていく。(怪我したくないため慎重に運転したという意味)(後ろには誰も乗せていない)
楽しい。自転車が楽しい。どんどん行こう。

多数のウミガメが飼育されている小笠原海洋センターを見学。多くの人で賑わっていた。

エサやり用のキャベツが売られていたが、
エサやりが好きではないのでやらなかった。

アップダウンのある道を経て、扇浦海岸へ。
途中、競技用自転車に乗った高速のおじいちゃんが颯爽と私を追い越していって敗北感を覚えた。
近くにある小笠原神社で、出港日に記帳してもらえる御朱印を頂いたりもした。

更に自転車で走って、道の終着点にあるコペペ海岸へ。浜では女性2人がビーチヨガをしていた。
一瞬晴れ間も見えたが、すぐ雲に覆われる。この日はこんな具合に移動するたび天気も移り変わった。

関係ないがここのトイレもけっこう綺麗だった。

また扇浦海岸まで戻っていく途中、ブランコを見つけた。

40分ほど走って大村地区に戻ってくると、雨が降り始めた。だんだん雨足が強くなってきたので、逃げ場を探して公園内に入る。
どの屋根の下にも人がいたので、木陰に入るという原始的な方法を取った。

サドルに袋を被せて守っている図。

通り雨だったらしく、雨はすぐに止んだ。
近くのお菓子屋さんでお土産とドーナツを買ったあたりで、時刻は12時頃。船の出発は15時だ。
微妙に空く時間をどうするか考えたあげく、自転車が思いの外楽しいので、もう一度扇浦海岸に戻ることにした。檻の中の動物みたいな行動原理である。

道中、水産センターのあたりで急に晴れ間が訪れて海の色が輝き始めた。

性懲りも無く扇浦海岸まで戻ってきたので、座ってドーナツを食べようとしていると、目の前に鳥が現れた。

確実にドーナツを狙っている距離感だった。
自分が愛嬌のある顔をしているのもよく分かっているらしい。
しかし、私は動物にエサをやるのが好きではないので硬い意思でドーナツを荷物に仕舞い込み、それでもいなくならないので写真を撮りまくった。

そのうち鳥は諦めて離れていったので、私もその場を立ち去ることにした。
自転車のカギを開けようと、サドルに左手を置く。何かがべったりと手のひらに付着した。

「———!?」

一人で声にならない悲鳴を上げる。鳥のフンだった。いや、奴のフンだった。ふと見上げると奴が屋根の上からこちらを見下ろしていたのだ。

ナメられたらしっかり報復するタイプ

幸い汗拭きシートなどの用意があり、近くに水道もあったので速やかに洗い流して退散した。
最後の思い出がこれかよ……

14時前に自転車を返却し、宿に置かせてもらっていた荷物を引き取って船着場で出港を待つ。
こんなにたくさんの人を見たのは入港日以来だ。

乗船時間になった。

寝台の場所は往路と同じだった。

父島の最後を飾る出港時の見送りを見るため、外部デッキへ移動する。外周部は早くも人で埋まっていた。

船の上と下でひっきりなしに挨拶が飛び交う。
私が泊まった宿の人も、探しに来て向こう側から手を振ってくれた。
自転車で近くを通り掛かった感じの人もノリで手を振ってくれるのが個人的にアツかった。
ただ、場所取りのために割とみんな早めの時間から待機しているせいで20分くらいクライマックス感を保つ必要があり、なんとなく周囲に「まだかな……」という空気が漂った。

そんなこんなで、出港だ。

停泊中の実習船に乗っていた人たちも、
なんかノリで手を振ってくれている感じで良かった。

まだかなとか思っていたくせに、いざ船が離れ始めると「うわ…待ってくれ!え!?寂しい!!」みたいな気持ちになってくる。
そうして、ここから湾を出るまでは、ギリギリまで観光船が追いかけてきてくれる。

父島初日にお世話になった小笠原観光さんの船も最後に全力で「ありがとうございましたああああ!!」と叫んでくれて涙腺に来た。

こっちがありがとうなんだが!!!???
と思いながら当社比激しめに手を振り返した。

また、他の船には水着一丁でわりと荒れ気味の海に飛び込む猛者も数組いて、場を沸かせていた。
船が一隻、また一隻と引き返して去っていく中、最後まで並走していたのがこの船。

海上保安庁の船だあ!
なんかスゴいカッコいい。やっぱり権威とか保安とか秩序維持とかいう響きに人は弱い。

海上保安庁のカッコいい船は、最後に鋭いUターンを決めて場を沸かせ、カッコよく戻って行った。
周りの人達も「最後に残るのが海上保安庁の船とはねぇ……」とか話しながらニヤニヤしていたのでみんな似たような感覚なのだろうと思う。

そうして、いよいよ島を離れたおがさわら丸は静かな海へと走りだす。

船内に戻って、コーヒーを買って飲んで過ごした。
程なくして天候が完全に荒れ模様となり、この大きな船がメチャクチャに揺れ始める。
私は寝台の中に引きこもって浮遊感と戦いながら、スマホで旅の記録をつけたり横になったりして過ごした。

夜中になっても揺れは全然引かず、シャワー室の使用は危険だと思ったので、洗面室でよろめきながら顔だけどうにか洗った。
消灯時間になり、「明日の日の出は6:20頃の予定です」というアナウンスが聞こえてきて、(あ、それ教えてくれるんだ…行きの船では聞き逃したんだ…)と静かに悟った。
そうして一応寝台の上で目を閉じたが、揺れがエグすぎて「どうやって寝ろと?笑」と半笑いになってしまう
少なくとも1時間以上は半笑いのまま意識を落とせずにいた記憶があるが、気が付けば気を失うように眠っていた。

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