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たそがれエッセイ集

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ひとりでほろり、涙を流したいときに読むエッセイです。
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#創作大賞2023

サラシを胸に巻いてた妹に、黄色いミモザの花を届ける

2021年3月8日、「国際女性デー」のきょう。 この日は大切な女性へ、黄色いミモザの花を送るそ…

虹色の免許証(前編)

「免許証の色がコロコロ変わるって、知ってる?」 大学一年生の夏という騒々しく胸が高鳴る時…

一億円の鉛筆【ショートショート】

「月が、綺麗ですね」 夏目漱石は「I love you」をそう訳した。名言じゃないか。 かれこれ12…

酔っ払いのスイカ【ショートショート】

Y華と出会ったのは、高1のときだった。 横浜のお嬢様校なのに、サーファーみたいに色黒で茶髪…

全力で推したい告白【ショートショート】

「推しが、結婚したんです」 一人用のソファに腰を下ろした37歳の患者、M男が言った。 「こ…

かけがえのないあなたとサヨナラするために

17年前、祖父を交通事故で亡くしてから、ずっと言葉にできない気持ちがあった。 大切な人の最…

昔の別れを振り返る【前編】

取材先は、昔の恋人が働いている会社だった。 ライターの仕事を始めた私は、記事を書くために取材先へ出向いた。先方と名刺交換をした際にそれに気づいたのだ。現場の社名だけでリサーチをしていたから当日まで気づかなかったが、母体となる会社が元恋人の働き先だった。彼がこの場所で勤務しているわけではないし、まだ働いているかどうかもわからない。ただ、名刺に載っている会社のロゴを見て少し動揺した。 その人との別れについて、今まで思い出すことも話題にすることも避けていた。親や友達にも自分の気