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サウナで野球観戦

 昨夜は温泉に行った。

『綱島源泉 湯けむりの庄』
 もともと綱島は首都圏郊外の温泉街だったが、その系譜を受け継ぎオープンした非常に大きな温泉施設だ。
 綱島の歴史は非常に興味深いので後日紹介したい。

 明日は学内のみで開催される陸上の記録会に参戦する。その疲労抜きとして交代浴をするのが今回の主な目的だった。

交代浴をすることにより、副交感神経と交感神経を交互に刺激し、自律神経の働きを高めたり、バランスを整えることが出来ます。 急性期を過ぎたケガからの早期回復や筋肉痛の早期改善、持久系のスポーツのケガ予防やコンディショニング維持にも効果的です。

参考文献:https://assist-chiba.com/knowledge/疲労回復に「交代浴」/

 というような効果があるらしいが、とにかく、心身ともにシャッキリするので自分も実践しているというわけだ。

 驚くことに今回の水風呂は期間限定で『シングル水風呂』なるものをやっていた。シングルなので、水の温度は一桁——9℃に設定されていた。
 いつも肩こりまで酷いので水風呂に入る際にも肩まで30秒程度浸かるのだが、流石に今回ばかりは10秒入っただけで体が氷結して動かなくなりそうだった。動かなくならない程度に浸かって、小走りで直ぐに38℃の源泉にドボン。いつもお湯に浸かるだけだと呆けた感覚に陥るが、交代浴では体に冷気の膜が張られ、その隙間からお湯の温度が入っていくようで、体は熱を持っているが頭と体の表面が冴える。呆けるのも温泉の醍醐味だが、交代浴によってもたらされる感覚も好きだった。

 夏だからかお湯の温度は少し低めに設定されており、交代浴をするにはもう少し熱くして欲しかったところ。そこでサウナにも入ることにした。ロウリュというフィンランド発祥の中温高湿のサウナだ。

 木目の室内で、3つほどの膝の高さくらいの段差があり、段差のタオルが敷かれたところに座れるようになっている。20人程度座れるようになっているのだが、タオルの敷かれているところは空いていなかった。タオルの敷かれていないところは熱く、しかも他の客と密着しそうになるので座れないようになっている。決して広くないサウナの室内に汗だくの男たちが陳列されている光景が奇妙だった。

 こんな満席になるのも珍しい。このコロナのご時世、密室に密集しているところにいるのも良くない、一旦出て、しばらく外で湯に浸かっていた。

 しかし5分経っても全く人が出てくる気配がない。80℃以上の密室でこんなに出入りがないのもおかしい。そろそろ自分も熱を浴びたい、中にいる人も出てくる頃合いだろうと、再びその密室に入ったらやはり満室だった。

 サウナは諦めてしまおうと思った矢先、すぐに半分以上の男どもが熱さに耐えきれないと言わんばかりにそそくさと出て行ってしまった。

 サウナ室内に備え付けられているテレビで野球中継をやっていて、巨人ー阪神でどちらかがスリーアウトになった瞬間だったのだ。

 こいつら野球中継が見たいが為にサウナに入って、席を譲り合うこともせず、このご時世に密になって汗水を垂らし、野球に見入っていたのか。恐ろしい。そんなに見たいなら今日は来るべきではなかっただろうに。

 たまたま入ったサウナで野球中継がやっていて見入ってしまった人もいたのだろうが、それなら野球中継というものの中毒性は恐ろしい。

 コロナとか熱中症とか怖いものはたくさんあるが、昨日感じた一番怖いものは、サウナの野球中継だ。

 

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