見出し画像

深呼吸する言葉: 時代の海の中を生きる方法論

みなさんこんにちは。あまやどり出版の滝和子です。
今回は私がKDPから初めて出版した、記念すべき第一作目の紹介をします。

 コロナが世界を席巻しつつある2020年9月にYAMI大学深呼吸学部がスタートしました。その講義の中で最初に教わったのが、今回の本のタイトルにもなっている「深呼吸する言葉」です。一見すると自由詩のようですが、ちょっとした約束事があります。
 
1.時代の空気を思い切り吸い込んで、自らの実存の中で、小さな言葉に結晶化して吐き出すこと
2.100字程度までに収めること
 
 重要なのは1番目ですが、体感できるまでに1年くらいかかったのかなと思います。いや、いまだによくわかっていないのかも。私の今の状態で理解できるところはここまでです、ということなのかな。 いずれにせよ、講義中に「深呼吸する言葉」を書かなくなっても、noteの中で細々と書き続けて3年目になりました。
 最初は小説のネタ集めのつもりだったのですが、そのうちコロナと共に友人となった人達との関係性が影響し、私の中で「深呼吸する言葉」を本当に深呼吸し始めました。
 一人では変えられなかった。仲間がいたから変わったのです。
 
 なぜか。それはこれまでの私が自分の実存をきちんと捕まえられていなかったことが大いに関係しています。会社員としての私・母親としての私・娘としての私…といった、社会の中での役割として私自身を認識することはあっても、役割を剥(は)がしたところにいる、裸一貫の私がどんな人間なのか、実は何一つわかっていませんでした。
 あなたは考えたこと、ありますか? 社会的役割を取っ払ったところにいる自分にどんな可能性があるのか、どんな価値があるのか、どんな顔で人とつながりあうことができるのか。
 
 コロナでそれまでの社会から暴力的に切り離されたことによって、私はネット上で社会的な役割を出すことなく、誰か別の人達と出会い始めました。最初は深呼吸学部の仲間達と。そのうちVRやZoomで知り合った人達と。
 そしてわかったのです。具体的に誰かの役に立たなくても人と人との関係は成り立つし、むしろその方がより関係性が深まる可能性があること。社会が作っていた役割分担はある意味強力なごっこ遊びに過ぎず、時代に合わせて変えていくのが望ましいこと。私達人間には社会を変えていく力があり、それをみんなが各自で思い出すべき時がやってきていることを。

 こうしたことがじわじわと体で理解できるようになるにつれ、私が書く「深呼吸する言葉」は大きく変わってきたように思います。その変化がもっともわかる、記念すべき2年間をこの本に詰め込みました。
 ちょうど200本の言葉が産まれたタイミングで、108本を選び本にしましたが、どれも当時の思いを呼び起こすタイムカプセルのようです。 読んでくれたあなたの中でも、何かを引き起こす言葉が一つでもあればと願っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?