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企業分析_トヨタ自動車を知ろう① ~まずは世界の自動車動向をみてトヨタに迫る危機を確認する その①~

 

 今回からは、日本だけでなく世界を代表する企業である『 トヨタ自動車 』についてみていきたいと思います。多くの方も聞いた事があると思われますが、今現在トヨタが属する自動車業界は『 100年に1度の大変革期  』と呼ばれる荒波の中にあると良く評されています。これだけの大企業であるトヨタには特に大した影響はないのでは?と感じてしまいますが、実際のところどうなのか。まずは世界の自動車の動向をみることで、その影響度合いを理解していければと思います。容量の問題で2回に分けさせていただきます。今回はその①回目


まずは、世界の自動車の販売動向をみてみる

 それではまずは世界の自動車の新車販売動向(年間)をみてみましょう

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 自動車の販売はこの70年で約9倍にも拡大し、現在は1億台目前の9100万台も年間販売しています。

 続いて直近での販売動向をみて、自動車産業の成長ステージを確認しておきましょう。

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 直近15年でみても約40%増の+2500万台と、未だ自動車産業は成長産業であることが分かります。’08年のリーマンショック時はさすがに減少しましたが、そこから持ち直しました。ただこの2年は減少傾向。少し不安を感じますね。

 それでは、どのブランドの車が売れているのかをみてみましょう。

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 TOYOTAブランドが世界で最も売れています。ただ、圧倒的な立場ではなく多くの強豪がひしめいているのが分かります。つまり、ちょっとしたことでその立ち位置が揺らぐ可能性があるとも言えます。

 少しくくりを変えて、グループ別でのシェアをみてみましょう。

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 グループ別でみると僅差ではありますがTOYOTA(ダイハツ・日野自動車)グループは3位。1位はVW、2位は日産連合となってます。グループでみても圧倒的な地位を築いているところはないですね。

 やや補足ですが、どのタイプの車が売れているのでしょうか?

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 世界の販売数の3分の1がSUV車となってます。いかに人気あるSUV車を造り出せるかがトヨタのような完成車メーカには重要ということを物語っていますね。※ちなみにSUV車とは↓


 では、車はどこで多く売れているのでしょうか?また、近年の成長はどこがキードライバーになっているのでしょうか?

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 アジアでの急成長が自動車業界の成長となっています。北米・EU地域ではほとんど車の販売数は成長していません。近年の成長でアジアが最も自動車を販売する地域になりました。

 ではもう少し細かく、国別でみてみましょう。

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 中国の成長が著しく、基本的に中国の販売数の成長が自動車業界の成長となっています。前回の旅行業界の動向を確認した時もそうですが、中国が世界の経済成長を支えていることが今回も確認できましたね。この成長で中国は米国を抜いて世界で1番車を販売する国になりました。我らが日本は3位です。

 シェアという形でこれを整理してみましょう。

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 中国は世界の30%を占める世界最大のマーケットへと変貌を遂げました。中国と米国で全体の約50%を占めるとは驚異的ですね。日本も3位ですが、シェアとしては約6%程度。いかにこの2つの市場が大きいかが分かりますね。

 中国はまだまだ成長していけるのかを自動車の普及率という視点で確認してみましょう。

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 中国の普及率は約20%と、2位の市場である米国、3位の日本と比べてもまだまだ小さいです。つまりは、今後もまだまだ成長していくといえます。仮に日本程度になったとすると、今よりプラスで2倍は所有する=販売するという事になるので将来は他を圧倒する凄まじい市場になるといえますね。

 これは補足ですが、中国と同様に凄まじいポテンシャルがある国があるので確認しておきましょう。

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 それはインドです。インドは未だ普及率約2%で、未所有は13億人ととてつもないポテンシャルを所有しています。経済発展のスピードとインフラ整備が加速すれば一気に増えていくと予想されます。

 

 中国に少し焦点をあててみてみましょう。この最大のマーケットであり、成長ポテンシャルも高い中国ではどのメーカの車が売れているのでしょうか?まずは地域別でみてみます。

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 地場の中華系のシェアが高いです。日本勢はやや劣勢と言えます。

 つぎに、少し細かくブランド別でみてみましょう。

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 VWが1位、2位はHONDA、3位はトヨタとなっています。ややVWが抜け出ている感はありますが、シェアに大きな差はなくシェア争いが激しい状態だといえます。この地位を最低でも維持し、更に拡大していく事がまさに自動車メーカの今後を決めるといえますね。その如何によっては今の地位が大きく変わってしまう事はいうまでもありません。それに失敗すればいかに世界No1ブランドのトヨタでさえ、その地位を落とす可能性があるといえますね。特に規模の経済が効きやすい自動車業界であるので、収益性にも大きく変化を生むといえそうですね。

 これは余談ですが、世界2位の米国市場と世界3位の日本市場のメーカ別のシェアをみておきましょう。まずは日本

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 日本ではトヨタブランドが圧倒的なシェア44%を獲得しています。つづいて米国。

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 米国ではGMが1位、Fordが2位、トヨタは3位となっています。しかし、大きな差はなくシェア争いの激しさを物語っています。

ここまでで

 世界No1ブランドであるトヨタでも、世界の最大のマーケットになった中国での覇権争いに敗れれば今の地位を失う可能性がある事が確認できたと思います。しかも今はVWが頭一つ抜け出しつつあり、地場の中華系のメーカも強い状況。いかに抜け出していけるか。でも危機はそれだけなのでしょうか?
 次回は、今後の自動車動向をみてもう少しトヨタに迫る危機をみていきたいと思います。


今回は以上となります。ありがとうございました!

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