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渡部昇一流『四書五経』の解釈

51、温故知新
🐢 故きを温ねて新しきを知る 🐢(『論語』為政第二)

「温故知新」として知られている言葉である。これを学問に当てはめてみると、
たとえば『古事記』を勉強するなら決して本居宣長を無視できない、
という言い方ができる。

日本の儒学は、温故知新をしっかりやった。
朱子学を学んでいても、その前を「温ねて」古学が出たり、徂来学が出た。

賢者は歴史に学び、愚者は体験から学ぶという。
昔の日本の教育にはプラスもマイナスもあるが、
漢文で古典を読ませたのは非常によかったと思う。
西洋でもリーダーたちにはギリシャ・ラテンの古典を読ませている。
洋の東西を問わず、歴史に学ぶ人たちには風格が感じられる。

そうして培った教養が新しいところに適用されるのである。
その極端な例がアメリカ建国だ。アメリカはパブリック、つまりローマ帝国が潰れてから何千年ののちに出た共和国である。
建国に際してギリシャ・ローマの共和制を学んだために、
建物までローマ式にしたり、制度なども非常に古典的である。
当時はヨーロッパ自体が「故きを温ねる」時代でもあったのである。

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