[小説] 君と傷心オーディション 4 [終]
episode D 最終選考・館山 [終]
女優は相手役に恋をするんだ。悠斗と別れそうな結衣はオーディションで主演女優の座を勝ち取り、相手役と恋をしようとする。オーディションのライバルであるどこか不思議な少女に、結衣は悠斗を重ねてしまって──?
065/きみとしょうしんオーディション
2020年11月29日完/四百字詰原稿用紙18枚
最終選考に臨めるのは男女ともに一人ずつだった。
森土結衣
相田陽向
場所は我が千葉の館山、ここで主人公二人は誕生する。実は私も陽向も知らなかったのだが、最終選考はお披露目の場であり、最初から選考自体は行われないと決まっていた。だからこうして館山の地を踏む私は、オーディションで主演女優の座を勝ち取ったのだ。
壇上で地図を背景に、似合わない燕尾服を着た監督が語った。
「二人は地理の話をしたのを覚えてるかな、実はオーディションをした街を地図上で順番に結ぶと『星のイノセント』の星型になるんだよね。そしてこれはね、実際に撮影で訪れる街でもあります」
私は大きな地図を見上げてため息をつく。書類選考の新潟には行けなかったけれど、私の傷心旅行は終わった。
さあ次は陽向と恋の撮影旅行だ。私は彼と見つめ合い、優しくほほ笑みを浮かべた。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
最終選考は館山(これも公開ずみ)ですが、こちらは同じ千葉県内(市原市)出身なので行ったことあります。
星型については題名「星のイノセント」のヒントがあったとはいえ、まず誰にもわからなかったと思います。ただの地理好き(地図好き)のお遊びです。すみませんでした(汗)。
それはともかく、傷心旅行が終わりました。いかがでしたか?
もうすっかり“傷心”じゃなくなってますけど、まあいいことにしましょう。
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