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独身アラフォー女性の奮闘記#15 男の気持ちなんて、どうせ一生わからない

クリスマス前だからなのか?みんな急に連絡よこし始めてわかりやすすぎるよ。

12月8日の満月は、双子座の満月だった。私は双子座なので、この日からいろんなことが動き出すだろうと思ってはいたのだが、本当にそうなっていてちょっと笑う。

男の気持ちなんて私にはわからない。
わかった所で、理解し合えないと失望するのが関の山だ。
だから、今までの自分が取り組んだことのない新しいやり方での「感情処理」へのチャレンジに動き出すつもりでいる。


都合のいい人

私は、自分が都合のいい女にされるのは嫌なくせに、自分にとって都合のいい人を作っているつまらない人間だ。
先日、また魔が差した。「あの野良犬、どうしてるかな」みたいな気持ちで、例の大学生に連絡を取った。というのも、会社の忘年会が実施された街に、彼が住んでいるからだった。
酒に酔って、「今近くにいるんだけど、電車がなくなって帰れないから会えない?」ってLINEをしてしまった。あの子が私に優しいのを利用したかったんだ。案の定、相手は私からの連絡を待っていたと言って、喜んで待ち合わせ場所にやって来た。一緒にコンビニのから揚げをつまんで、軽くお酒を引っ掛けてから「俺のマンション、すぐそこだから」と家に連れて行かれた。

正直、ホテル街のど真ん中に暮らしていると言われてからずっと、どんな物件なのか興味があった。普段から、私は無駄な好奇心で身を滅ぼしがちなのに、お酒による判断力の低下で、彼にホイホイとついて行った。
「こんな所に人って住んでるんですね」というくらい、駅から徒歩数分の、右も左も正面もホテル、みたいな立地のマンションだった。
そんなのもう、ホテルじゃん。

学生が住む物件だから当たり前だが、都心らしく、狭くて年季は入っていたが、一応リノベされているシンプルな部屋だった。
「ねえ、ここって事故物件じゃないの?」とか言って、大島てるで確認したら、特に事件や事故の登録がなくて胸を撫で下ろした。でも、近隣のホテルではそこそこの事故が発生したことがあったという事実が発覚した。それはまあ、想定の範囲内だったけど。

夕方からの飲み会でかなり飲んでいたので、私は色気など1ミリも出さずにさっさと寝支度に入り、買ってきたお茶を飲んでベッドの中でまるくなった。振り返って考えると、随分と図々しいし、ちょっと相手が可哀想だったかもしれない。
犬と一緒に暮らしていた時みたいに、寝床のメインはわんこである。私は、隅っこで布団を被って寝るくらいがちょうど良い。隣に誰かが寝てくれるだけで少し安心感が得られるなんて、ちょっと前の私にはない感覚だった。

前回、そこはかとない罪悪感を得たのに、何してるんだろうっていうのは自分でも思っていたけど、彼は寝ている私に堂々と手を出してくるタイプとも思っていないので、「事故物件」という映画をサブスクで流しながら少しうとうとして外の喧騒に耳を傾けた。
間もなくして、私は寝落ちしてしまった。

土曜の朝、彼は学校のオンライン講義があると言って私より先に起きていた。目が覚めて「私、すごい歯軋りするんだけど、大丈夫だった?」って聞いたら、嘘か本当か、聞こえなかったよって言っていた。
優しいなって思った。
そもそも起きた時間も大概遅かったが、その日の夕方から友人と映画館に行く予定があったので、お昼過ぎに「そろそろ帰ろうかな」と伝えたら、彼も友達と約束があると言って、駅まで送ってくれた。
またね、と手を振って電車に乗った。
また、とかダメじゃん。やめた方が良いってわかっているんだけどな。

私と大学生の年齢差は、心の距離と比例しているように思う。
私の心は、彼には近づかない。
だからってそれで良いわけじゃないし、腐っても相手は男だ。
本心なんて、私は知る由もない。だから、今後は酔った勢いなんかで連絡しないように気をつけようと思った。何を今更って感じだけどね。


ポケモンに幻滅

会社の忘年会の最中に、実はポケモンからもLINEが来ていた。
「せっかくLINE交換したのに、全然連絡くれないじゃん!」と、相変わらずクソガキみたいなことを言って来たので、「仕事が忙しくて、本当に時間がなかった」とかいうクソ男みたいな返信をした。
年末年始、旅行と実家に帰る予定を一方的に伝えられ、それ以外は都内に居るけど空いている日に会えないかと言われた。ちょうど1日だけ都合がつく日があったので、出掛けようという提案をしたら、「アマリリスちゃんの手料理を振る舞ってほしい」とか言い出した。忘年会の最中だったこともあり「ナシ寄りのナシだけど、ちょっと行きたい場所考えておくね」と返事をして、その日のやり取りは終わらせた。

翌朝、大学生の家で携帯を見たら、早朝に「土曜出勤だるいー」というLINEが入っていたので「私、昨日飲みすぎて昼まで寝てた。お仕事がんばってね」と一報を入れておいた。
何してんだよ40歳にもなって。大学生の部屋から別の20代の男に連絡とか、クズ・オブ・クズの所業だ。

夕方、友人と映画に行って、夜ご飯を食べて翌日のライブの予定を確認し、駅で解散した。そのタイミングで「仕事疲れたー」というLINEがポケモンから届いた。帰りの電車の中でやり取りを続けたが、私の家で手料理を作って欲しいと食い下がって来たので「私、いきなり家とか無理な世代なんだよね」などという返事を送った。「どの口が言ってんの?」って感じだよね。わかる。

それでもなんだかんだ口実を作ってぐだぐだ言うので、「そもそもうちは年末に母が泊まりに来るから無理だよ」と嘘を吐いて断った。
「え、じゃあどこで料理するつもりだったの?」
「できるとしたらポケモン家しかないよね?」「うちは散らかっているから」
「だから私は外出がいいって言ってる」
「じゃあ外でご飯にしよう」
はあ?
お前が私を家に上げたくない気持ちの150倍、私は男が家に来ようとするのが嫌なんだよ。
「付き合ってもない女の家に軽々しく訪れようとするなよ!」と言う思いと、「なーんだ、ポケモンも結局そういう感じかぁ」って気持ちで、一気に冷めてしまった。

一人暮らしの歳上の女の家は、後腐れなさそうな感じがするんだろうな。

私は、キングクリムゾンさんと大学生でそれを理解したので、もう同じ轍は踏むまいと心に固く誓っていた。
なのでポケモン、お前はノーチャンスだ。

ポケモンは賢くていい奴だと思ってた分、落胆も大きくて、イライラしながらLINEをしていたら、電車も止まった。緊急の確認か何かで、発車までの時間に随分とかかった。その間、ポケモンに「行きたいお店調べておくね」と伝えるLINEを打っていたら、ポップアップでキングクリムゾンさんからのLINE通知が見えた。

え?

男さん達、なんで全員いっぺんに発生すんの?
そう思って、今度は既読をつけないように、内容を確認した。
電車が発車する頃には、私はポケモンとのLINEは一段落させて、キングクリムゾンさんからの連絡を再度、読み返した。


恋人になりたかったんだよ

私が数日前に彼に送った返信は、今後については彼に委ねるような言い回しで送っていた。「もう連絡をくれなくてもいいし、その事を後ろめたいと思わないでいいから」というのと、「ただ、気が向いたらいつでも気軽に連絡してください」という言い方をしていた。随分と都合よく出たもんだ、と思うかも知れないが、その前提にも数行で伝えたことがあるので、あんまり軽くは見えなかったはずだ、という自負はある。

でも。

男って、本当にバカな生き物。
そう思う返事が送られてきた。
「気が向いたらいつでも気軽に連絡してください」だけ、めちゃくちゃポジティブに受け止めちゃったんだな…。

彼からのLINEには、「俺も返事が来て嬉しかった。アマリリスちゃんさえ良ければ、普通の友達になってくれたら嬉しい」とあった。

さっさと手を出しておいて、こっちの気持ちが勝手に盛り上がったら面倒になって捨てようとしたくせに、キープできそうに見えた途端、普通の友達ってなんだよ。

私は、あなたの友達じゃなくて、恋人になりたかった。
どうして、この期に及んで友達になろうだなんて、そんな無神経なことを言えるんだろう。

あーあ。
期待していたわけじゃないけど、悲しくなった。
私は、既読もつけず返事もせずに帰宅した。
帰りのコンビニでプリンを買って、家でプリンを食べながら少し泣いた。普段甘いものなんて家ではあんまり食べないけど、悲しい気持ちとプリンのカップを空っぽにしたら、彼への気持ちも少し冷めたように感じた。

大学生もポケモンもキングクリムゾンさんも、みんなTinderの男でしかないのね。私も、彼らにとってはTinderの女でしかないんだから、そりゃそうか。


プログレッシブな私

日曜日、例によってライブ遠征に向かう新幹線の中で、友達に上記の出来事をざっくりと伝えた。「キングクリムゾンがその程度の男だったなんて、ガッカリだわ」と言われた。私は「でもさ、それでも好きなんだよな。少し冷めたけど、まだ好き」って吐露したら、友人は「もおおおおお!!ほんとにダメな男が好きだよね。気の済むようにしなよ」と笑い飛ばしてくれた。

東北の地で1日過ごして、美味しいご飯を食べて、帰りの新幹線では観に行ったライブのメンバーの方と同じ車両で、普通のオタクみたいにキャッキャしながら帰京して来たのだが、実は、新幹線に乗る前に、私はキングクリムゾンさんに返信をしていた。

「うん。私はそれでも嬉しいよ。ありがとう」

バカなふりして、釣られたような返事を送った。
本当は、全然、嬉しくなんかないよ。だって私、彼と友達になりたかったわけじゃないんだもん。
でも、この返信をきっかけにして、あんなに何日もつかなかった既読が、すぐにつくようになった。内心、「調子がいいんだね」と幻滅してる自分もいた。
だけど、友達になるふりでもしなきゃ、もう会うこともできないんだから、そりゃあふりくらいするよ。

日付が変わる少し前に帰宅して、好きな配信者の配信を見ていたら、早速返事がきた。あんなに何日も、何週間も未読スルーしていたのに、また行けそうと思ったらすぐ返事するのね。
ズルい。
内容は、「先日親知らずを抜いて体調が悪いけど、回復したらまたご飯に行こう」という誘いだった。

ああ、はいはい。
クリスマスは他の女と過ごすから、その時期を避けるための口実なのかな?

もうそういうのはね、いいよ。
私、もう傷ついてないから。
もう、悲しくもならないから。

私、彼の中の、私の優先順位を、変えさせてやるってもう決めたから。


忘れられない言葉

昔の恋人と同棲を解消するときに、私と同じ歳の従姉妹がかけてくれた、忘れられない言葉がある。
私は当時、彼を愛していたし、信じて待っていれば帰ってくると思っていたけれど、結局うまくいかなかった。
「これが最後」と、それに応えてもらえなかったらもう別れようと決めていたことがあって、結果、本当にダメなんだと悟った時に、泣きながら従姉妹に電話をした。
その電話で、従姉妹が「アマリリスちゃんがどんなに彼のことを思っていても、アマリリスちゃんのことをこんなに追い詰めて、泣かせる人が運命の相手だなんて思わないで欲しい。その人は、アマリリスちゃんを幸せにできない男だよ。私はアマリリスちゃんをこんな風に泣かせるあいつが許せない」って言っていた。
その時は、私はいつもの調子で「それでも彼が好きだったの」とおいおい泣いていたが、今になって彼女の客観的意見ほど尊い言葉はなかったと思う。

キングクリムゾンさんの行いを客観的に見たときに、あの時の従姉妹の言葉を何度も思い出す。
私が何度も悲しい気持ちになってしまうような行動をする人が、私の幸せを願ってくれるわけはないだろう、と。
彼は、私に対してなんの思い入れもない。私のこと、きっと本当は、ミリも好きでもないのだろう。

それでも、今回の恋でも、私はかなり往生際が悪い。
彼は今はこんな人かもしれないけど、もしかしたら気が変わることだってあるかもしれない。
仮に気が変わっても、そんな男はいつか同じことを繰り返すだろうとも思う自分もいる。

でも、もし本当に親知らずで体調を崩していたら?
もし、ただのおバカさんで、天真爛漫マイペース野郎なだけだったら?

人間の性格がそう簡単に変わるとは私も思わないけれど、人との出会いで、視野が広がったり、考え方を改めることは、大いにあることを私は知っている。
もっと私と彼が、ちゃんとお互いを知っていく過程を経た上で、気持ちが変わることはあるかもしれない。
可能性があるなら、私はチャレンジしてみたい。
すぐに見切りをつけることになるかもしれないけれど、それでも、目的は「彼を知ること」であって、今すぐに「彼と付き合いたい」とか「結婚したい」があるわけではないから、時間は問題じゃない。
付き合ってみてから知ることもあったかもしれないけれど、私はその順番を初期の段階で間違ったから、今からは別のルートを進むしかないのだ。

私がお前を追いかけるんじゃなくて、今度はお前が追って来いよ。
そんな気持ちで、私の心は既に臨戦状態である。


静かな炎

この気持ちは、ずっと消化不良のままだと思っていた。
だけど、私は少しずつ、消化し始めている。
誤解を与えるような書き方をしているが、好きな気持ちをこじらせていのではなくて、私は彼に私のことを知って欲しいだけなんだ。

どういう結論を出すにしても、お互いに知った上で、判断をしたいし、判断して欲しい。
もっと、お互いを理解し合えたら良いのになって思う。
もし、もっと好きになれたら。
幻滅した気持ちを別の形に変えることができたら。
本当に友達として大切と思えるのかもしれない。
恋人になりたいと思って、なれなくて、決別を選ぶのかも知れない。
嫌いになることすらあるかも知れない。
その判断をするための、時間とチャンスが、私は欲しい。

こんなに興味が湧く相手に、私はなかなか出会わないことを知っているから。早く次の男に行けって、他人は簡単に言うけれど、私は自分の狭いストライクゾーンを誰よりも理解している。
私にとって、彼との出会いは本当に貴重だった。彼と出会って、音信不通になったからこそ知り合った人もいたわけで。
そして、その人たちを通じて、彼を少し理解できるようにもなった。

これも、大切な友達の言葉だが、少し前に「仕事もあって、友達がいるんだから、何度でも立ち直れるよ」って言われたことも、心に残っている。
だから、もしも玉砕したって大丈夫なんだ。

友達に見えている何倍ものスピードで、私は彼に対する自分の気持ちの変化を受け止めて、噛み締めて、この数ヶ月間でめくるめく感情に順応してきた。
沢山学んだ。
だから、彼に会えても、私はもう身体を簡単に許すことはないし、熱っぽくなって判断を誤ることをしない自信がある。

今は、彼に会うのが楽しみというよりも、彼に会った時に自分がどう感じるかの方が楽しみなんだ。
私の本当の気持ちは、その時どんなことになるのかな。
男の気持ちなんか到底理解できないんだから、自分がどう感じて、何をどう判断するべきかだけにフォーカスしよう。

私の心は、静かに燃えている。
あの人に、また会える日が早々に来ることを願って。

<参照>
この記事の登場人物についてはこちらが分かりやすいと思うので、興味がある人は参照してみてください。

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