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その手に握りしめているものは…?

 先日「大人の自己肯定感」というテーマでお話していたときのこと。
 お話を聞いていた方はとっても真面目で、完璧主義で、周りのことにもよく気が付き、自分で何でもできてしまう方でした。
 お話をしていくうちにポロリと出た言葉は、
「私は人の役に立たないと、生きている価値がないんです」。

「人の役に立たなくても、価値がないなんてことはないんですよ」
 そうお話しましたが、
「いいえ! 私はなんとかして人の役に立たないと!!」
 と、持っているものを手放そうとはしませんでした。

 何十年と生きてきて、親からの影響だったり、学校や職場の環境だったり、先祖からの遺伝だったり、元々の性格や気質だったり。
 例え同じ環境だとしても、人の感じることは変わってきます。
 そして、何十年の間に、
「人の役に立てたら、私は生きている価値がある!」
 という思いを、大切に育て、握りしめてきたのでしょう。
 もしかしたら、環境的にそれが『生きるために必要なもの』だったのかもしれません。

 でもね、本当にそんなことはなくて。
 私は今自律神経が死んでて、ほんと社会の役に立っていないんですが(^^;
 そんな私でも『生きている価値』はあると思っています。
 どんな人でもそうです。

 何十年と握りしめていたもの、必要だと思っているものを、すぐに手放せる人はなかなかいません。
 そのときの価値観、プライド、固定概念、自分はこうあるべきだと思っていること、親にこうしなさいと言われてきたこと、周りの目、社会や環境、たくさんのものがあって、今の自分が形作られています。

 でも、今それで生きづらくて困っているのなら、ちょっとでも自分を変えたいと思っているのなら、そーっとそーっと、すこーしずつ手を放して、解放できると、人生が楽になるのかもしれません。
 こんがらがった糸を、すこーしずつでも、解いていけるといいですね。


#創作大賞2024 #エッセイ部門

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