天野たわむれ

文筆愛好家はじめました。 小説・詩・歌詞・戯曲・随筆などが好き。 ふだん仕事でまじめな…

天野たわむれ

文筆愛好家はじめました。 小説・詩・歌詞・戯曲・随筆などが好き。 ふだん仕事でまじめな文章を書きますが、愛好の気持ちを忘れていました。 少しずつ、色々なものを書いていきます。 マガジンで記事を整理しています。 プロフィール記事あり。

最近の記事

万年筆 ~ペンクリニックと筆記測定|エッセイ(全文無料)

 2024年9月下旬  万年筆をペンクリニックに出し、また、筆記測定というものを経験した。  情報技術が隆盛を極めるこの現代において、私は前時代的な、万年筆という筆記具を愛用している。いまや道具としての実用性から離れ、ほとんど趣味のためだけの、ロマンのみを成分として出来上がるようになった万年筆。インドア派の趣味の極みともいうべき万年筆。私もインドア派の一員として、近年ますます、万年筆を愛するようになった。  もちろん書き物をするときは、大部分はタイピングによるドキュメント作

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    • ケンブリッジ滞在記2 ~歓迎レセプション|エッセイ(全文無料)

       初日から、私は大変苦労したようだ。  私が英語を得意としないことは前回紹介したところだが、こんな私にとって、英語の着席レセプション(着席パーティー)ほど辛い場面はなかった。とにかく息つく隙がない、逃げ場がひとつもないからだ。この着席のレセプションという過酷な試練が、留学カリキュラムの開始早々に用意されていたとは。このようないわばスパルタ式教育の存在を、事前に理解していたならば、私は参加を決意せず、または自らの愚かさに気がついて、すぐさま参加の気持ちを変えていたことだろう。

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      • とんかつ屋A ~爽やかとんかつ|エッセイ(全文無料)

         たとえば、とんかつ屋へ行った。  私は本当はとんかつが大好きで、頻繁に食べたいはずだが、一方で酒が好きで、晩は晩酌になるから、なかなかとんかつにはなりにくい。「今日はとんかつを食べるんだよとんかつを」となったらとんかつ屋へ行くのだ。今回も、しばらく食べていなかったので、私の中のとんかつが爆発した。  とんかつ屋も、他のジャンルと同様、行ったことのない気になる店を常時ストックしてあって、いざとんかつが爆発したときには一個ずつ店を片付けていく。この日のとんかつ屋もそのうちのひ

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        • すし屋A ~粒ぞろいのネタを一通り|エッセイ(全文無料)

           たとえば、鮨屋へ行った。  この店は初めの時からネタがとってもおいしくて、気に入って、以来、何度か行った。  夏のころから、サンマが食べたいと思って、行こう行こうとして、行けないで、時季を逃してしまって、でもいいやと思ってこないだとにかく行ってきた。 ―瓶ビール下さい。 ―何にしますか。アサヒ、サッポロ、エビス… ―じゃエビスで。  やっぱり鮨屋のカウンターは格別とネタのケースとホワイトボードを行ったり来たり。 ―白身は何ですか、じゃヒラメを下さい。生牡蠣も。しばら

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        万年筆 ~ペンクリニックと筆記測定|エッセイ(全文無料)

        マガジン

        • とらねこ村<トランスミッション>
          147,217本
        • グルメスパート!|エッセイ連載
          3本
        • エッセイまとめ(読み切り集)
          2本
        • ケンブリッジ滞在記|エッセイ連載
          2本
        • 尊属のこと|エッセイ連載
          1本

        記事

          グルメスパート!序文|エッセイ(全文無料)

           それは誰だって、食べて美味しかったら嬉しいに決まってるじゃないか―  それはまったくその通りでしょうが、その程度というか、そこにかける思いの強さ、情熱の量、また何を重視するかなど、人それぞれでけっこう違うらしいんです。  世間には食に関する皆さまの評価感想が山のように書かれてあって、私は「みんな食べるの好きなんだなあ」と感嘆し、ときには有益情報として参照させてもらう一方で、そこに私が情報を追加する必要などなかろうと考えていました。  ところで、私は自らの食い意地をあらため

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          グルメスパート!序文|エッセイ(全文無料)

          文筆愛好家はじめました|エッセイ(全文無料)

           「文筆愛好家はじめました」  これは簡単に言えてよいと思った。だって文筆が好きで、愛好していればそれでよいわけだから。  さて最近その文筆を愛好する気持ちを思い出し、何か書いていこうと決意して、準備を整え、ようやくここまでこぎつけたのであるが、さらに勢いをつけるため、自己紹介でもないけれども、私のこの溌剌とした初心を書き留めておくことにした。  私の中から文芸を引っ張り出してみる。色んなところから出てくる。あちこちにしまってある。古びたものもある。意外と新鮮に見えるものも

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          文筆愛好家はじめました|エッセイ(全文無料)

          母のこと(一)|エッセイ(全文無料)

           母はきつい女だったが、半面、愛情深い女だった。  私はひとり息子で、私が生まれてから、母が死ぬまで、とにかく母に溺愛されて過ごした。  母は2021年、七十代で死んだ。死因は食道がんだった。死んだ時は入院していて、新型コロナウイルス感染症の対策のため、私は死に目に会うことができなかった。  母は私にとって最後の直系尊属だった。母が死んだ時、私がもろもろ手続をした。だから当時はその忙しさに取り紛れ、いっとき悲しみを忘れたが、その後落ち着いたら、やっぱり悲しかった。  今さらな

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          ケンブリッジ滞在記|エッセイ(全文無料)

          はじめに 私は英語がよくできないが、かつて3週間の短期ながらも、留学をした経験がある。  あれは2009年夏のこと、英国ケンブリッジへの短期留学だった。  このことを書いてみようと、初め安直に思い立ったが、2009年といえば15年も前のことで、正直、今となっては記憶曖昧な部分も多い。  ただ幸いにして、当時の私は手書きのメモノートを残していた。これは帰国後、留学経験について記述しようと計画し、その資料とするために残していたものだったが、その計画は私の怠慢により、今に至るまで実

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          ケンブリッジ滞在記|エッセイ(全文無料)