『温水』
お風呂のお湯は身体を芯から温めてくれるというしあわせをくれるだけでなく、
わたしをより鮮明に見せてくれるフィルターの一つとして存在します。
深さによってフィルターを何重にも重ねることができるので、見たくない時はぼんやりと輪郭だけを見ることもできるし、聞きたくない時はフィルターを外してしまえば済みます。
見えなかったもの聞こえなかったものがそのフィルターを通すことで可視化される。
鮮明にだけどやさしく存在を映し出してくれる水の中のお話です。
『温水』
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沈めてみると
鼓動があなたにも伝わるように
傷も色も曖昧なその形も
すべて音となって、振動となって
知らないわたしの中でも響き合ってくれる
会えなくても知っている存在を
確かめるように
映し出すその世界を
記憶する
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