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行列のできるリモコン【毎週ショートショートnote】

「ついに完成したぞ、『人間操縦リモコン』が」

僕たちは、超・科学部。
天才発明家である部長が、物騒な試作品を理科室の机に置いた。

「操作者が頭で思い描いたとおりに他人を動かせる。製品化すれば欲しがる客で行列間違いなしだ」
「部長、その性能が本物なら、ヤバすぎて売れないと思います」
「そうか? それでも視察や取材は殺到して、理科室の前には行列ができるだろうさ。よし、早速実験だ。そのリモコンで私を操ってみたまえ」
「えっ、……いや、実験台は僕が」
「何を言う。全ての発明は自ら試してこそだ」

素晴らしい哲学、発明家の鑑だ。
さすが僕の憧れの部長。
ぼさぼさ長髪低身長眼鏡白衣、クールで天才なのに少々ポンコツなお姉さん、と属性過多な部長。
そんな部長を――自由に操れる?
どんな命令も聞かせられる?

僕は……

いや、ダメだ!
雑念は捨てるんだ!

強く首を振り、リモコンを操作する。

すると部長――の背後の骨格標本が、しなりと横たわりセクシーポーズをとった。


※この話に登場する「超・科学部」の2人は、以前の【毎週ショートショートnote】のお題「理科室まがった」でも書いたキャラクターです。同じノリなので、この話が気に入った方はそちらもぜひ~。

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