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聴診器が海苔【毎週ショートショートnote】

画期的な診療を始めたという病院を受診してみたら、診察室に入るなり思わず声を上げてしまった。

「な、何ですか、ソレ」
「ええ、これが新しく導入した『生体聴診器』ですよ」

医者の首から下がっていたのは、生き物の内蔵のような、赤黒くぬめっとしたグロテスクな代物。しかも、ひとりでにうねうねと動いている。

「コレを……身体に当てるんですか?」
「そう、それだけで体内の異常のほぼ全てを検知してくれる、優れモノなんです」

いくら優れモノでも、こんなモノを身体に当てるのは、ちょっと……

「抵抗があるようなら、この眼鏡を着用してください」

触手みたいなソレに、モザイクがかかった。
……いやコレ、むしろ卑猥だよ!

「これでもちょっと……」
「なら視覚効果を、黒塗り、通称『海苔モード』に切り替えますよ」

確かに、モノは真っ黒に覆われた。
でも、この黒塗り……無機的な長方形じゃなく、ドロッとベタッとした深いな質感で……

「いや、海苔は海苔でも、岩海苔じゃん!」

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